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2013年6月

2013年6月28日 (金)

逆針(さかばり)な方位磁石(east west reversed compass)とは?

ごく普通の方位磁石は、円盤形ケースの中心に立てた支えの棒の上に横向き (水平な)棒状の磁針が載せられていて水平面内で自由に回転できるように なっている。地磁気に沿って静止した磁針の向きから南北方向は知れる。そ れらの中間の方角は読めない。そこでどうするか。円盤形ケースの外周に方 位角目盛りを振る。外周の適当なところを北として角度にして90度毎に反時 計回りに東南西を書き込んでおく。方位磁石を取り出して磁針が南北方向に 静止するのを待つ。十中八九と言わず100パーセント、磁針のN極と磁石ケー スの円周に刻まれた北とは一致しない。磁石ケースを左右どちらかに回して 磁針のN極とケース上の北目盛りを合わせる。これでケース外周に刻まれた 方角が実際の方角になる。

普通の方位磁石で南北から外れた方位を知ろうとすると、静止した磁針の南 北の向きと磁石ケース外周に刻印された南北方向を一致させるように磁石 ケースを回す必要がある。歩いて進んでいる方向を知りたいときは、磁石を 取り出してから磁針が静止するのを待ち、次に磁石ケースを回して磁針の南 北とケース外周の南北を一致させる。そうしたうえで自分の進んでいる方向 を磁石ケース外周の方位目盛りで知るという手順になる。

自分の進行方向を確かめようとするたびに磁石ケースの南北と磁針の南北を 一致させる作業は面倒である。自分の進行方向に方位磁石をその器具の決め られた向きにするだけで進行方向を直読できるようにできないだろうか。例 えば、乗用車の進行方向を表示するには、器具を車体に固定するから方位磁 石の決められた向きを進行方向に向ける作業はなくなる。一目で進行方向が 知れることになる。

自分の進行方向とか観測方向を直読できるようにするには二つの方法があ る。一つは磁針を回転ディスク内に含ませてしまい、そのディスクの円周上 に方位角を目盛る。二つめは、いわゆる逆針(さかばり)にしてしまう方法で ある。

(注)逆針(さかばり)や本針(ほんばり)という用語において「針(はり)」は方 位磁石の全体(自体)を指している。方位磁石の内部で回転する磁針を逆(ど のように逆にするのだろう?)にするというような意味合いではない。

磁針をディスク化すれば方位目盛りが磁針と一緒に回転するのだから磁石 ケースの外周に書き込まれた南北と磁針の南北を合わせる操作が不要にな る。磁針は方位目盛りの書かれたディスクを引き連れて回転しなければなら ないので動きが重く(鈍く)なるだろう。また、磁針(ディスク)自体が重くな ることで磁針が惰性により最終的な静止位置より左右に行き過ぎたり帰り過 ぎたりする振動の制動が難しい。

二つめの方法である逆針(さかばり)は、天動説から地動説へのコペルニクス 的な発想の転換に似ている。方位磁石ケースに書かれた南から北への方向を 進行方向や観測方向に向ける。そうすると磁針のN極が指し示す磁石ケース 外周に刻まれた方位目盛りが進行方向になる。逆針な方位磁石においても磁 針のN極は実際の(地磁気の)北方向を向いているのであるが、それが指し示 す磁石ケース外周の方位目盛りは自分の進行方向になるのである。

次のページに日本製の逆針なコンパスの紹介がある。ジンバル(gimball、常 に磁石を水平に保つ仕掛け)付きで測量に使われたものである。伊能忠敬は このタイプを使っていたらしい。目盛り盤の子(ね、北)と午(うま、南)の位 置に照準用のスリットが取り付けてある。子丑寅...の十二方位が子(ね、 北)から反時計回りに配置されている。

PROFILE - Japanese surveyor staff compass from the late Edo period,
circa 1850-1868. It is gimballed and has a fixed socket.

逆針の方法は簡単である。磁石ケースの外周に振る目盛りを、普通なら北を 起点として時計回りに90度置きに東、南、西と配置するのを逆回り(反時計 回り)に換えるだけである。そうして磁石ケースの北を目標物に向ける。よ り正確には、目→磁石ケースの南→(磁針の中心)→磁石ケースの北→目標 物、が一直線になるようにする。そのときの磁針のN極の位置にくる磁石 ケース外周の目盛りが目標物の方位角になる。

頭にイメージを思い浮かべるだけではピンと来ないなら実物のコンパス(普 通の本針なものでよい、頭の中で西と東の表示を入れ替える)を手に持って 試してみるとよい。自分の前面真正面に磁石ケースの北の目盛りを向けた状 態で体を水平回りに左右のどちらかに回転させて磁石ケースの北目盛りと磁 針のN極を一致させる。このときの磁針は地磁気通りの北向きである(磁針が 静止したら必らずそうなる)。磁針のN極が指し示す磁石ケース外周の目盛り も北になる(そうなるように体を回転させたのだから改めて言うこともない 当たり前なことである)。自身(!)も磁針(!)も北を向いた状態からスター トする。

この状態から体を右回りに90度だけ(時計回りに)回転すると体の前面は東を 向く。磁針のN極は地磁気の北向きのまま(静止状態)であるが、磁石ケース から見ると反時計回りに90度だけ回転する。逆針なら、磁針のN極が回り止 まったた先の磁石ケース外周の目盛りは東になる。その位置に普通の磁石 (本針、ほんばり、正針、まさばり)では西と打ってある(それが逆針の名前 の由来である)。

(注)逆針とは、磁針が「逆」という意味ではなく「本来の方位磁石(針)」や 「本来とは逆さまな目盛りの方位磁石(針)」ということである。なお、進行 方向または観測方向に対して、磁石ケースに刻まれた南を向ける(北は手前) ときには、磁針のS極が指すケース外周の方位目盛りを読むことになる。
日本で航海用の磁石が使われるようになったのは室町時代以降のこと。初期 には、おそらく中国の指南針のように水に磁針を浮べる方式が主だったと考 えられるが、江戸時代には、より進んだ「乾式(磁針の中心を垂直の支柱で 支える方式)」の和磁石が盛んに使われていた。和磁石の特徴は「本針(ほ んばり)」と「逆針(さかばり)」の2種類がある点だ。本針は、普通の磁 石のように、方位の目盛が、子(北)、卯(東)、午(南)、酉(西)の順 番で時計回りに、逆針は、それが反時計回りに刻まれたもので、それぞれ用 途も使い方も違う。
まず本針は、自船の位置を知るために山や岬の方位を調べるためのもの。手 持ちで目盛の北と磁針の北を合せる普通の使い方だった。一方、逆針は、目 盛の北を船首方向に向けて据えつけて使う。目盛が通常の磁石とは逆に刻ま れているため、磁針の北が指す目盛上の方位は、そのまま船の進行方向を示 すことになる。日本独自のアイデアで、船乗りにとってとくに便利だったた め「船磁石」とも呼ばれた。
いずれも本体は木製で、厚手の円盤状。くり抜いた中央に磁針を置き、周囲 に方位の目盛を配置したもの。厚い一枚板からろくろで挽き出し、つくりは 極めて頑丈だった。回船の最盛期には、主要港湾の周辺に和磁石の工房がい くつも生まれ、一部は本家の中国にも輸出されたといわれる。優れたアイデ アと巧みな製造技術で世界の評価を得た20世紀の日本のハイテク製品輸出に も通じるような話だ。

方位磁石の逆針(さかばり)は江戸時代の測量士である金沢清左衛門の発案で あるとされる。金沢清左衛門でネット検索すると次が見つかる。

樋口の孫弟子金沢清左衛門は航海用に東西が逆の羅針盤を発明する.これは 『元和航海書』にある航海用の羅針盤の使用法をマスターした清左衛門が改 良したものであろう.この東西が逆の羅針盤が岡に上がり,当時の鉱山の振 矩師(測量師)に取り入れられた.現在の日本のクリノメーターはこれが基 になっている[14].
[14]清水大吉郎:日本の“クリノメーター”の歴史,日本地質学会学術大 会講演要旨91,p. 576,1984.03.25,日本地質学会
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003038969
http://ci.nii.ac.jp/lognavi?name=nels&lang=en&type=pdf&id=ART0003500494
(注)金沢清左衛門の名前がある。なお、論文タイトルにある南蛮流とはポル トガルであり、紅毛流とはオランダを意味している。
日本の"クリノメーター"の歴史(清水大吉郎、オープンアクセス)
(注)手書き原稿が画像として収録されている。文字起しする。文中に金沢清 左衛門が和磁石の逆針を考案したとある。それはクリノメーター用にも便利 なものであった。文中にあるロシア文字などを似通ったアルファベットで代 用している。
(引用始まり)-------------------------------------------------------
日本の"クリノメーター"の歴史
清水大吉郎(京都大・理)
地層の走向・傾斜を測る道具をわれわれは「クリノメーター」とよんでいる が、この名は国際的ではない。類似したものを、英語ではcompass and clinometerとよび、ドイツ語ではBerg Kompasという。ロシア語ではKONMZC TOPHbiNである。日本のクリノメーターの特徴は、長方形の板に磁石(羅針 盤)がついている、傾斜を測るおもりがついている、東西の表示が逆になっ ているの諸点にあるが、このうち2点は日本の江戸時代の測量術に由来す る。
1650年頃長崎に来たオランダの医師カスパル(Caspar)によって、当時のヨー ロッパの測量術が伝えられた。ユークリッド幾何学を応用したものだが、そ れが日本人によって規矩(キク)術として伝承され、実用化された。その一人 金沢清左衛門が、航海用に磁石逆盤を考案し、それが測量家にもとり入れら れた。そのうち、鉱山の測量にあたったものを振鉅師(フリガネシ)という が、彼等の用いた方位測定器が、我々のクリノメーターの前身であるらし い。
西欧ではドイツの鉱山家によって似たものが考案された。走向・傾斜の語そ のものがドイツの鉱山業に発するが、それを測定する道具としてBerg Kompasが考案された。そこで東西の表示を逆にすることが考えられた。文献 上では1870年代の例がある。チェコのHornicky Kompas、ロシアのKOMMAC GOPHbiNはドイツの系統を引くものである。この道具はフライベルク鉱山学 校に学んだ欧米人によってひろめられた。1867年来日した鉱山家Coignetも フライベルク製のコンパス(東西表示が逆)を用いている。このような日本と 西欧のそれぞれの伝統をうけついで、日本のクリノメーターになったといえ る。
英語諸国の地質家はドイツから走向・傾斜の考えをとり入れたが、その測定 用具はそのままとり入れず、多くの道具を考案している。彼らに東西逆表示 がとり入れられたのは1940年代のようである。
(引用終わり)-------------------------------------------------------

以上は地質調査用のクリノメーターのための解説である。クリノメーター (clinometer)は名前からいうと傾斜計であるけれど、地層面がどちらの向きに 傾いているかの方角を知るために方位磁石が付いている。なお、測定記録の中 に上りと下りの傾斜が混在していると面倒なので、下る方角で記録を統一する 習慣がある。クリノメーターの方位磁石で特徴的なことは、東西が普通のもの とは逆転していることにある。北に向かって右側に西(E)の文字があり、左側に 東(E)が刻まれた、いわゆる逆針になっている。クリノメーターの写真をチラッ と見たくらいでは逆針なことに気付かず現物を手にとって初めて気付くもので ある(私は見落とした)。クリノメーターが逆針であることがその業界では常識 でも素人にとっては初耳なことである。

逆針は和船独自のものであると日本語解説にある。そのことにふれた英文の 解説があってしかるべきと探しまわる。しかし、何をキーワードにしたらよ いのか分からない。逆針に相当する英語の単語がない。「reversed compass」では磁針のN極とS極が入れ替ったトラブルを元に戻す方法の話題 になってしまう。逆針(さかばり)と一対一に対応する英単語がないことは、 そのアイデア自体が日本産であることを暗示する。

ひょっとしたらsakahari, urahariなどでヒットするかと思ったけれど、 まったくの見当違いだった。インターネットなどの通信手段の発達した現代 ならtunami(津波)とかkarousi(過労死)のように日本語がそのまま英語圏で も使われている例が多い。残念ながら紙ベースでしか情報伝達できなかった 江戸時代のsakahari(逆針)は伝わらなかったようである。

何の分野でもそうだが、その分野に関して先進な国の用語ほどその分野で現 われる事物を細かく分けてそれぞれに固有な短かい呼び名が付いているもの である。例えば、日本語で牛といえば去勢牛(ox)、種牛(bull)、雌牛(cow) のように「(どのような種類の)牛」というように必ず「牛」の文字が入って いる。「ナニナニな牛」と呼ぶ日本語に対して、英語における「うし」は、 種類によってまったく違う名前になっている。それらの用語に「うし」を意 味する共通な語根(漢字の編や旁に相当した意味ある文字列)は含まれない。

日本は長らく牛どころか四足と呼ばれる動物の肉を食べる習慣がなかった。 牛肉を食用とすることに関しては後進国である。牛の種類を細かく分類して それぞれに付けられた固有な英語名があっても、それに相当する日本語名は ない。いっぱひとからげに牛といえば通じていたのである。そこで英語流の 細かく分類した呼び名には、牛全般を表す「牛」にその種類を表す接頭辞を 付けることで対応した。

本針(ほんばり)と逆針(さかばり)は方位磁石を表す「針」に方位磁石の種類 を表す「本」または「逆」を付けているので固有な呼び名ではない。そうで はあるけれど「逆針」に相当しそうな「reverse compass」をネット検索し ても品物の名前としてはヒットしない。「east west reversed compass」の オア検索(複数個のどれか一つのキーワードを含むものを探す)でようやく逆 針の意味に合った記事が見つかる。「東西逆転コンパス」のような長ったら しい呼び方にしないと英語では通じない。アイデアが生まれたての頃には適 切な呼び方がないので止むを得ずに長い呼び方になってしまう。それが世の 中に広まるにつれて一言ですむ通称(イメージできる愛称)や略称が付く。そ のような土着っぽい呼び名が英語圏に見当らないということは、逆針アイデ アが外国(日本)からの借り物だからなのだろう。

日本の和磁石の逆針を紹介する英文記事は見つからない。英語圏の人は、和 磁石の方位を表す東西(卯酉)の漢字を知らないから読めない。そのために東 西の表示が逆(逆針)になっていることに気付かない。和磁石の逆針のアイデ アを取り入れたけれど、その起源を紹介しようとしても、逆針の和磁石の絵 や写真にある漢字が読めない。本針と逆針の写真を並べて見せたら違いに気 付くだろうが面倒なことは次第に省略されてしまう。二つの写真を並べたう えで逆針であると注釈を入れておいても、たぶん、みすごされるだろう。結 局のところ逆針のアイデアが和磁石にあることは伝わらない。方位磁石の発 見は中国らしい。磁針が南北を指し示すというアイデアさえもらえば方位の 振り方は受け入れ側が勝手にする。漢字は読めなくても方位磁石の東と西の 表示を入れ換えたらオモシロイのアイデアは伝わる。実際に使ってみてその 便利を再発見(再発明)したのではなかろうか。アイデアは伝わったけれど、 その呼び名までは伝わらなかった。

The reversed E-W is not unique to vintage compasses. Modern compasses can be made the same way. If you line yourself up with the N-S line, the reversed E-W compass card then tells you which direction you are facing.
So if you were steering a boat, the reversed E-W tells you which direction the boat is heading.
Another way to illustrate is to hold the compass so that you are facing due north. Start turning to your right. As you are turning right, you are facing more towards the east. Because the needle keeps pointing north, the E on the left side of the compass card moves closer to the needle. You can now read directly off the compass card that you are facing easterly.
Answer:
It's a direct reading compass, meaning that whatever direction you are pointed in, the needle will show your heading. Meaning that if you are facing north, the needle points north. Rotate 90 deg. to your left, and the needle now rotates clockwise 90 deg...to the letter labeled W.
The compass rose is properly reversed for use as a sighting compass. The reversed compass rose causes initial confusion with novices, but in use it is obvious why the compass rose must have East and West reversed. When you are sighting directly North, the compass needle will point to North. If you turn 90 degrees to your left, you will be sighting due West, but the compass needle rotated 90 degrees to the right, which reads West on a properly reversed compass rose.

silvaのサムコンパス6 Jet Spectraの外周には方位角度は刻まれてないが四 方位の文字(NESW)が反時計回りに刻まれている。親指方向に北方位のNを配 置している訳は、逆針にあったのだ。現物が無くて写真だけで分かろうとし たために誤解・曲解していた。東と西の表示が反対になっていることに気付 かなかった。なお、silvaのサムコンパスには反時計回りに四方位文字 (NESW)が刻まれているが、suuntoには四方位を表す文字が書き込まれていな いという違いもある。これも見落としていた。

silvaのオリエンテーリング用プロトラクターコンパスの最高級モデルの6 Jet Spectraの紹介ページでは四方位表示が逆針なことに、ふれられてな い。このページの製品写真をよく見るとダイアルの周辺には、普通のコンパ スと同じようにNESW(北東南西)の文字がある。サムコンパスは親指にバンド で固定して使うようになっている。指先方向にNがあり、その反対側であるS は体の前面寄りになる。親指にコンパスを装着した状態において向かって右 にWが、そして左にEがある。何度も同じ写真を見ているのだけれど、普通の コンパスと違ってEとWが左右逆になっていることを見落としたままだった。

方々の製品紹介ページを探し回ったところ6 Jet SpectraのNESWを刻んだダ イアルは回転するものではないらしい。したがってコンパスの外枠円周上に 刻まれたNESWの方角を表す文字は動かせない。動かないダイアルに刻まれた 四方位マークは何のためにあるのだろうかと不思議に思う。無いよりはあっ たほうが便利なことがあるのだろうかで思考が停止した。

(注)レクレーションとしてゆっくり歩くオリエンテーリングならsilvaのタ イプ3型のように、コンパス外周ダイアルを回して方位を合わせる操作もで きる。しかし、目盛りを正確に合わそうとするとどうしても立ち止まる。 チェックポイントで次の目標に見当を付けるときに辺りを見回しながらダイ アルを使うくらいである。気が急いているときはダイアルなど回している余 裕がない。6 Jet Spectra型は競技オリエンテーリング仕様である。タイム トライアルだからチェックポイントを巡る途中は、全速力で歩くというより 走ってしまう。立ち止まってダイアルを回すような悠長なことはしてられな い。回転ダイアルがあっても使われない。ならば固定ダイアルにして進行方 向の方位が直読できる逆針にしたらよかろうになったと思う。

silvaのサイトに6 Jet Spectra単独のマニュアルはない。コンパス全製品に 共通な説明書しかない。探したら次のSILVA SPECTRA - System - Tips!に四 方位を表すNWSEマークに関するチップ(コツ)が書かれている。しかし、逆針 なことにはふれてない。カラクリの説明は長くなるので省略したのだろう。 使用者の気付きにまかせている。せめて、少しは原理を匂わせて(ほのめか せて)欲しい。

4. Quite often during a race, you may want to run on approximate bearings i.e. to a catching feature. Find aiming points. These are often in the direction of one of the four cardinal or inter-cardinal points. 6 JET SPECTRA assists you, by allowing you to simply just orientate the compass needle’s "N" towards the cardinal point for the direction you want to run in. Then, the plate points in the correct direction! For example if you want to run West towards a big feature. Turn yourself until the needle points to "W" and run in the direction the compass baseplate points. Easy! This means that you will more quickly find the correct direction, which is important when you make a greater number of rough compass runs.

silvaのサムコンパス6 Jet Spectraの四方位文字が逆針になっていることに 気付かされたのは次の記事による。「east west reversed compass」(オア 検索のキーワード)でネット検索しているときにたまたま見つかった。

At first glance, the Silva 6Jet’s dial markings appear to be backwards, as the compass denotes east on the left side and west on the right side. But in use, it all makes sense. The tip of the compass base plate beside your thumb works in tandem with the needle. Basically, whichever marking the needle is pointing to on the dial denotes the direction that the tip of the compass, and correspondingly your thumb, is pointing at in the wilderness. (The orange needle is at the same time always pointing north, so it can be used like a normal compass when needed.)

サムコンパスの親指側のコンパスケース外周に四方位の北(N)を打つことの 意味がようやく分かった。それは逆針だったのだ。体の前面にささげ持った 地図を見るとき親指はほぼ進行方向に向いている。意識して進行方向に磁石 ケースの北の目盛りを向け直せば、その磁針の指し示す(固定された)磁石 ケース外周にある目盛りが現在の進行方向の方位になるというカラクリであ る。オリエンテーリング用コンパスの最新・最高機種に、金沢清左衛門の逆 針のアイデアがさりげなくしのびこませてあった。

(注)市販されている逆針な方位磁石は地質調査に使うクリノメーターだけの ようだ。brunton(ブルントン)のpocket transitと名付けられたウン万円(安 いもので366ドル)もするものもある。やはり、地質調査向けでウォーキング に使うような気軽なものではない。小型だから使えるだろうけれど、勿体な い。

なお、陸上の船である乗用車のダッシュボードに固定して車の進行方向を直 読できるようにする次のコンパスは60ドルである。磁針をディスクに含ま せたタイプ(磁針ディスク一体型)であって中身がまったくの本針であること は製品写真から読み取れる。磁針が磁石ケース外周に刻まれた方位角を指す 方式ではない。

指針が回って固定された(動かない)目盛り盤上の方位文字(目盛り)を指す日 時計式(アナログ式)な逆針と、決まった位置に方位角が表示される覗き窓表 示式(疑似デジタル式)の磁針ディスク一体型タイプ(本針)のどちらが分かり やすいだろうか。慣れの問題だろうが針が回って方位角を指す日時計式な逆 針のほうが分かりやすいと思う。逆針なら目盛り盤に四方位(東西南北)の文 字が無くても針の向き(傾き)で凡その方角が知れる。磁針ディスク一体型の 覗き窓表示式では、四方位(八方位、十二方位)を表す文字または方位角を読 み取ってから頭の中で「北南西東→上下左右」のイメージに翻訳しなければ ならない。逆針なら上が北、下が南、そして左が西、右が左の地図イメージ とすぐに重ねられる。

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