« 2012年5月 | トップページ | 2012年7月 »

2012年6月

2012年6月30日 (土)

安来鋼(青紙、白紙、黄紙、yasuki hagane)とは

安来鋼(青紙、白紙、黄紙、yasuki hagane)とは

Time-stamp: "Tue Nov 01 11:32:56 JST 2011"

平成23年9月1日草刈り鎌を新調する。どれを選ぶかの判断基準は値段と重さ である。鎌にどんな銘柄があるとか、どのような種類のものがあるのか、値 段の幅はどれくらいのかなどをまったく知らない。知識のないものを買うと きの判断基準は値段とそのものの重さである。よいものほど値段が高いもの であり、いい材料は重くてそれを多く使っているなら当然に重いはずである と判断する。

安いものはいけない。刃は厚めのものがよい。茎が5ミリもある草を切るに は薄っぺらい鎌ではグラグラする。ホームセンターで安いものは700円くら いだった。軟らかい草向き用では不安がある。雑木用とあるものはズッシリ 重い。とりあえず固い・軟らかい草両用とある1600円の草刈り鎌にする。

鎌の柄に貼られたラベルにある「安来鋼青紙2号使用」とは何だろうと検索 をかける。島根県安来市の日立金属株式会社安来工場でつくられた安来鋼 (やすきはがね、やすぎと濁らない)の商標と分かる。早速使ってみと切れ味 がよい。買ってすぐ使えるようになってはいるが研いだほうがよいらしい。 研いでみると刃が硬いという印象を受ける。諸刃(両刃)とあるので裏表を同 じように研ぐことになる。片刃なら刃表10回に裏1回くらいでよいらしい。 新しいこともあるのだろうが、草に軽く当てるだけで気持ちよいくらいに切 れる。切れの悪い鎌は力を入れて無理矢理に切っている雰囲気がある。やは り道具を選ばなければいけないと思う。

去年使ったステンレスの薄刃の草刈り鎌は、力を入れると刃の根元がグニャ リと曲がりかけていた。軟らかい草用だったのだろう。錆びないでピカピカ しているので、いかにも切れそうだったが切れ味はよくなかった。いい道具 を使ってみて初めて道具のよさが分かる。使い比べなければ、そもそも比較 することができない。同じ程度の道具を使い続けるのでは、この種類の道具 はこういう使い心地のものなのだと思ってしまう。「井の中の蛙(かわず)、 大海を知らず」になる。

実は最初に使った鎌も研ぎながら使っており、切れ味はよいと思っていた。 色々な鎌を使った経験がないから比較できない。今使っているものを基準に するだけであり、他にもっと切れる鎌があるかどうかは分からない。そこへ 二本目の青鋼鍛造の刻印のある鎌を使って切れ味の違いを感じる。ブツ、ブ ツ、ブツと切れていたものが弱い力でジャリッと一気に軽く切れる。剃刀を 使う切れ味である。草を刈るのが楽しくなる切れ味である。

軽い引きで力は要らないぶん慎重に扱う。これだけ草が軽く切れる鎌を指先 に当てたら怖いが先立つ。切れが悪いと力を入れるから疲れる。疲れると投 げやり傾向になり慎重さに欠ける。早く済まそうと無理したりもする。切れ がよいと疲れない。疲れがなくて作業がはかどると余裕が出来て冷静になれ る。無理がないから怪我しない。

切れの悪い鎌は力任せに使ってしまう。勢いあまって指先にきたときに、鎌 の切れが悪くても力が入っているので怪我の程度は重くなるかもしれない。 切れのよい鎌は少し当たっただけでも切れてしまう。切れのよい鎌は軽く引 いているぶん軽く指先に当たるだけで済むかもしれない。切れのよい鎌を弱 い力で慎重に使うほうが、切れの悪い鎌を力で捻じ伏せるように使うより安 全な気がする。

手袋をしているけれども鎌の刃先に一番近い左手の親指・人差し指・中指の 先は擦り切れた軍手から関節一つ分はみだしている。もっとも傷付けやすい 指先部分が手袋で保護されていない。それだからこそ鎌の刃先と左手指先が ニアミスしないように気をつける。左手を添えた草の根元に鎌の刃先を当て がい手前に引く。このとき草を握る左手も右手で鎌を手前に引くに合わせて 手前に動かす。草の根元が切れないうちに草を握った左手を手前に動かすと 草を引き抜くことになる。そうならないように左手の動きが右手の鎌より少 し遅れているのだろう。しかしその時間差を意識することなく右手の鎌を手 前に引くと同時に草を握る左手を手前に動かしている。ときおり鎌の刃先が 指先に触れることがあるが刃先と指先を同じ方向へ同時に動かすので速度差 がない。もし当たったら「気をつけなきゃナ」とよりいっそう気を引き締め る。ニアミスは鎌の発するアラームである。

指先に怪我をすると作業の能率がガタ落ちになる。指先を庇(かば)おうとす るし指先に力が入らない。そうすると草刈りが億劫になる。指先をしっかり 保護する手袋が望ましいが手袋をしていても刃先が指先に近づかない動きを 身につけなければ怪我する。指先剥き出しの危険であったらそのぶん慎重に 作業する。完全防備で漫然と作業するより安全である。

平成23年10月27日大規模ホームセンターで草刈り鎌を物色する。9月1日に新 調した鎌で快調に草刈りを続けている。その鎌を買ったホームセンターとは 違う他所でどんな品物があるのかが気になる。同じものはなかった。青鋼使 用という鎌と白紙2号使用とラベルにあるものがあった。他に特殊鋼とある が安来鋼を連想できる文字はないものがある。次に新しい鎌を買うときは特 殊鋼のような曖昧表現のものは避けて青鋼とか青紙・白紙のように安来鋼ら しい文字がラベルにあるものにしようと思う。

切れ味のよい青鋼鎌を使う前から作業後(ときおり作業前)に必ず鎌を研ぐ習 慣が身についている。一年振りに使う鎌の刃先には錆がある。酷いときは全 体が錆色(茶色)になっている。これでは見た目からして切れ味が悪い。一度 に刃全体を見栄えよくするには時間がかかるのでとりあえず刃先が光るよう にする。毎回研ぐ際に刃先を第一にして次第に刃先から刃全体にかけての錆 色が消えるようにしていった。

青鋼鎌に換えてからも作業後に研ぐことを続けている。青鋼鎌の刃は硬いと 感じる。草刈り鎌や刃物鋼に関する色々な知識を仕込んだせいで硬いものと いう先入観があるから余計に硬いと思おうとしている面はあると思う。説明 によると研ぐのは難しいとある。研ぐマネにしかなっていないのかもしれな いがそれでもともかく研いでいる。研ぎが難しいということは素人が研ごう が研ぐまいが切れ味は変わらないことになる。まったく無駄にはならないと 思う。研ぐと気分的によく切れそうに思える。実際の切れ味に大差がないに しても心理的効果はある。切れ味が悪いと感じると力まかせ気味になりやす い。よく切れると感じたら慎重に軽く扱うようになる。

よく切れるということが頭に染み込んでいるので左手に握る草の束が特別に 太いときしか右手の鎌に力を込めることがない。小石や杭とか縁石の際とか の刃先が硬いものに触れそうなところでは鎌を軽く引く。そのため硬いもの に刃先が当たっても力が入ってないので刃こぼれすることがない。切れ味が 悪いとどうしても力まかせに手前に引くことが多くなる。そのため刃先を傷 めやすいと思う。

東に大山、西に宍道湖を望む島根県安来市は古来、出雲と伯耆の鋼を積み出 す港町でした。中国山地に産する真砂砂鉄は不純物が極めて少なく、古くか ら日本独自の発展を遂げた「たたら製鉄法」によって玉鋼に精錬され、千有 余年に及ぶ刀匠の伝承技術によって鍛えられ、日本刀に仕上げられていたの です。この和鋼の技術と品質を残すため、明治32年(1899年)創立された雲 伯鉄鋼合資会社が今日の日立金属株式会社安来工場の発祥です。和鋼の特長 は砂鉄を低温還元によって精錬し、鋼中に固溶する不純物を極力少なくする と同時に、百錬の鍛えによって粘り強い鋼を作ることにあります。この伝統 は今日のYSSヤスキハガネの中に新しい形で受け継がれています。
YSS高級刃物鋼は、「青紙」「黄紙」「白紙」及び「銀」シリーズに分類し ており、これらは、当社の「登録商標」となっています。「青紙」は「白 紙」にタングステン、クロム等の特殊元素を配合して、その切れ味及び耐久 性を向上させたものです。「銀」シリーズは一般家庭用の各種包丁、鋏、鋸 などに使用され、錆びないステンレス刃物として広くご使用いただいており ます。さらに、最新の製鋼技術を生かしたナイフ用鋼材ATS34やZDP189など も製造しております。
「安来」の正式呼称は「ヤスギ」であり、安来の「来」は「ギ」と濁るので すが、ハガネのブランド名の方のファーストネームは「ヤスキ」であり、濁 りません。本来ならば、安来で作ったハガネであることから「ヤスギハガ ネ」になるはずなのですが、実際は「ヤスキハガネ」として世界中に通用し ています。なぜ「ヤスキ」なのか・・・、その理由は定かではありません が、あえて推測すれば、「そのハガネは濁りのないもの」と、最高級ブラン ドを自負した作り手のこだわり・職人魂がこのような表現につながったので はないでしょうか。
日本全体での刃物鋼の生産総量と、ここの工場で生産する刃物鋼だけの生産 量を比較した場合の比率は低いのですが、しかしながら最高級刃物鋼として の国内シェアーは約80~90%を占めています。
これは、この工場の方針でもある、最高級の鋼しか製造しないという頑なな までのこだわり。まあ、それが世界的にあつい信用を得ている由縁で、「ヤ スキハガネは世界屈指のハガネである」と自慢できる根幹ともなっていま す。まさに安来が誇る文化・伝統、われわれ市民も鼻が高い限りです。
しかし世界最高級なるが故の悩みもあって、刃物にする場合の加工が非常に 難しいと言われています。なにせ、日本刀を作るのと同じく、生半可な技術 ではハガネの性能が生きないのです。よって「ヤスキハガネ」は優秀な技術 を持った職人の手にかかってこそ、初めて切れ味鋭い最高級の刃物に変身す ることができるとされています。そのぶん価値も上がる反面、値段の方も結 構お高く張るのですが・・・。
日立金属安来工場は、刃物鋼に留まらず多種多様な用途の特殊鋼を生産して います。そして市内に多くの関連企業を抱え、昔から多くの市民にも親しま れており、この工場が築き上げた「ヤスキハガネ」という世界的なブランド 名も手伝って、安来は「安来節のまち」であると同時に、「ハガネのまち」 でもあるという確固たる地位も築き上げてきたのです。

(注)安来鋼(やすきはがね)の青紙、白紙はあおがみ、しろがみと読んでよい のだろうかと思う。重箱(じゅうばこ)読みとか湯桶(ゆとう)読みのように二 つの漢字の読みとして音・訓取り混ぜるのはよくないだろうから、白紙は 「しろがみ(訓・訓読み)」か「はくし(音・音読み)」のどちらかである。 「はくし」はなさそうなのでおそらく「しろがみ」だろうと思う。

日立金属のホームページからは青紙の読みが確認できない。日立金属の英語 ページでも見つからない。そこでグーグル検索でyasuki haganeを検索して みる。自動的に安来鋼に翻訳されて日本語の、それも刃物製造・販売会社の サイトが多くヒットする。検索オプションの詳細設定で言語を英語に指定す るとようやく英語サイトの記事が表示される。

Hitachi Metals Ltd. is one of top manufactures of high grade metal products and materials, electoronics devices, high grade functional components and equipment. The company is well known as a manufacture of its “Yasuki Hagane” YSS (Yasuki Speciality Steel) for cutlery industries.
Yasuki Hagane steel has been produced in their plant in Shimane prefecture in Japan where the high quality iron sand has been produced for making traditional Japanese swords since ancient times. These are three main premium grade high carbon steels (Shirogami, Aogami and Aogami Super) that have been used for making Japanese made field & kitchen knives. Hitachi metal is also known as the manufacture of high grade premium stainless steel, ATS-34 and ZDP-189. ZDP-189 is the highest performing steel in the knife industry today.
White Steel (Shirogami) This is refined carbon steel that does not contain any ingredients and can be used for making high-grade Hocho (Japanese kitchen knives), hatchets, axes, sickles and chisels.
Blue Steel (Aogami) This is made by adding chromium and tungsten to Shirogami (White Steel) that makes the material more durable and provides corrosion resistance and mostly used for making high-grade Hocho (kitchen knives) and outdoor knives.
Super Blue Steel (Aogami Super) This is the highest grade steel in their product line that contains high percentage of carbon, chrome to increease hardness, improviding edge retention and corrosion resistance.

| | コメント (9) | トラックバック (0)

« 2012年5月 | トップページ | 2012年7月 »