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2012年1月

2012年1月31日 (火)

草刈り鎌の使い方(how to use a sickle)

草刈り鎌の使い方(how to use a sickle)

Time-stamp: "Sat Jul 30 13:33:20 JST 2011"

去年(平成22年)は田圃の畦道の草をエンジン刈り払い機で処理した。畦道に は石があったり土塊(つちくれ)の凸凹があったりで刈り払い機の回転刃が石 を跳ねたり土を削ったりの憂鬱がある。草が伸びすぎると地面が見えにく い。草で隠された杭とか縁石とかの障害物に気付きにくい。鎌で刈るにも刃 毀れ(はこぼれ)を起こしやすい。2メートルもある棒(刈り払い機)の先の回 転刃より目前60センチにある鎌の刃先のほうがよく見える。能率は悪いけれ ど確実に草をなぎ倒してゆく快感が鎌にある。

刈り払い機でも鎌でも刈り取った枯れ草は、集めて焼き払わないことには何 時まで経っても草の繊維が残ってしまう。腐り果てるには長時間がかかる。 枯れ草の堆積があれば新しい草が生えにくいかもしれないが却って肥料(堆 肥)になるかもしれない。なにより見た目がよくない。そこで刈り取った草 が乾いた時点で焼き払うことにする。

手刈りであれば刈り取りと草集めが同時に出来る。これを空き地に拡げて乾 燥させる。1日経てば十分に乾く。2日すればカラカラに乾燥してアッという 間に燃える。薄っぺらい葉物なら生のものでも燻り(くすぶり)ながら燃え尽 きる。

焼却できる枯れ草があるときは草刈りの合間に焼く。一度に多くを燃やすと 煙害が近隣に及ぶおそれがある。周りは農家ばかりであるから短時間の煙な らお互い様と見過してくれる。なお、洗濯物が取り込まれた後に燃やすこと を心掛けている。また、夕食時間帯の煙も嫌われそうである。

鎌を右手に持ち、草を左手で掴んでその根元をガリッと切る。鎌の刃先を左 手で握った草の根元に当てる。左手指先を怪我しやすい。両手に軍手をはめ るが手袋の親指と人差し指の部分は擦り切れて指なし手袋になっている。最 も刃先に近い指先は手袋からはみ出している。それでも指を傷付けることは ない。誰に教えられたわけでもないが怪我なく作業できている。

左手での草の握り方(掴み方)は、大根を引き抜く要領である。前屈みになっ て身体の正面にある草束の右側から左の手の平を添えて握る。左手の親指が 下側で小指が上になり左手の甲が内側になる。左手の親指と人差し指が草の 根元寄りになる。草の根元に鎌の刃先を当てがい手前に引いて草を切る。こ のとき鎌の動きに合わせて左手も同時に手前に引く。草を掴んだ左手を止め たままにして右手に持った鎌だけを手前に引くことをしない。右手の鎌も左 手の草も同時に手前に引く。そうすれば鎌の刃先が左手の親指と人差し指を かすめることがない。鎌の刃先が草の根元を切り離してからでないと左手で 草を引き抜くようになるから、鎌の右手より草を掴む左手の引きが僅かに遅 いのだろう。鎌の引き寄せと左手の引きを同時にすることで指先を刈らない ようにする。若干の遅れはあるにしても気持ち的には両手同時に引いてい る。

下図のように、必ず親指を下にして草などをつかみ、鎌を地面に這わせるよ うに手前へ引きます。鎌で草などを切る瞬間から、ほんの一瞬遅らせて両手 を手前に引くと切りやすいでしょう。親指を上にして草などをつかむと、鎌 で手を切りやすいので注意します。また、鎌に角度をつけて引くと、鎌がサ サなどの上を滑って手元へきて、手を切ることがあります。
(注)目の前で左右に水平に横たわる鉄棒を握るとき手の甲が手前になるよう に鉄棒を掴む握りを順手という。手の平を鉄棒の裏側に沿わせて手前に向け る握りを逆手という。
棒の握り方には普通の左右に水平な鉄棒の他に、体操競技の平行棒とか綱引 きでの握り方、もう一つは棒倒し競技とか杭抜きの握り方がある。人と棒の 配置については前方にある棒が左右に水平、上下に垂直、前後に水平の三通 りがあるわけである。
上下に垂直な棒を握る向きを手の甲か手の平のどちらであるかで指定するの は難しい。垂直棒の腰より高い位置を掴むときは親指を上側に手の甲を身体 から離れる向き(親指を上に)にするのが自然である。前屈みで膝下くらいの 垂直棒を握るのは大根抜きの要領で親指を下にした握りになる。
草刈りにおける草の握り方は順手・逆手のどちらなのだろうか。左手の手の 甲を内側に親指を下側にしている。手の甲が見える向きであることから順手 かもしれない。草の束を前方から手の平を身体の方向に向けて握るなら逆手 かな。電車の垂直な手摺りを腰より上の高さで握る向きが順手というに相応 しい気もする。

熱中症にならないように日差しのあるときは1時間以内で休憩する。曇って おれば2時間くらい続ける。草刈りはしゃがみ姿勢であるため足腰が痺れ気 味になり身体に応える。そこで時折は立ち上がり腰を伸ばす、草を運んだ り、かき集めるなどする。同じ姿勢で長時間作業をしないようにしたほうが よい。2時間程度の作業なら鎌の切れ味が目立って悪くなることはない。石 とかコンクリートに刃先が触れることは多いが切れ味の鈍るのを感じること はない。

鎌の切れ味がよくないと疲れる。あまりに切れ味が良すぎると怪我につなが るかもしれないので悩ましいところである。とりあえず作業開始前か作業終 了後に次回に備えて鎌研ぎしている。出来るだけ草の根元に近いところに鎌 を当てるので地面を削り気味になる。石や砂で刃を傷めることになる。

その昔の人達は砥石を腰にぶら下げて作業の合間に研いでいたという。水田 の周りなら水には事欠かない。いよいよ水がないときは唾を付けて研いだと 聞く。半日ぶっ通しで草刈りするなら途中で研いだほうがよいだろう。やは り道具はそれなりに整備すべきである。鎌の使い始めは長時間、おそらく去 年から使ってないために錆び付いている。まあ、研いだほうが良かろうと刃 先1ミリくらいが白くなるまで砥石で擦る。

また、田のアゼ草を刈るときには裸足で歩いても痛くないように薄く土を草 の根元と一緒に削り取るように刈りますので鎌はすぐに切れ味が悪くなりま す。このようなときには腰に、砥石入れ用の細い縄で編んだ袋を下げて作業 をし、どこでも切れ味が悪くなるとその場で研ぐのでした。水がないときに はツバをつけて研ぐことも時にはありました。
今日のような草刈機のない昔は鎌が草刈りの唯一の道具であった。鎌は時々 砥石で研がないと切れが悪くなる。そのため、写真のような手作りの縄袋に 砥石を入れて腰に下げて作業をした。主に田の周りの草刈りで水は近くにあ るので必要に応じて鎌研ぎが出来て便利であった。鎌研ぎは、柄を右足で踏 んで刃を立て固定して左掌で刃裏から支えるようにしておいて研いだ。切れ 具合は刃に爪をあてて動かし食い込み方で判断した。砥石の使い方が悪いと 砥石の一部だけ凹むので砥石の全体を使うように留意して研いだ。水のない ところでは唾をつけて研ぐこともあった。中学生の頃、父と田の畔薙ぎ(く ろなぎ)の作業をするときに、静かな谷間に父が鎌を研ぐだけが妙にはっき りと聞こえたことを憶えている。

草刈り鎌を研ぐときは、包丁や刀研ぎのように固定した砥石上で刃を前後す ることをしない。鎌を固定して砥石を刃先に当てがって擦る。鎌は、柄と刃 がほぼ直角になっているため包丁研ぎ式はやりにくい。刃自体が湾曲した鎌 なら、なおさらである。曲がりのある刃は砥石を動かして研ぐのがよい。安 定した作業台のない草刈りの現場で鎌を研ぐには、砥石を安定させることを 考えるよりは鎌を固定して砥石を動かすほうが早い。

包丁の砥ぎ師でも鎌を研ぐのは難しいと言います。砥石は広い面ではなく、 側面の巾の狭い部分を使います。ホームセンター等で売られている鎌砥石を 使っても良いでしょう。鎌を研ぐには、包丁を研ぐように包丁を動かすので はなく、砥石の方を動かして研ぎます。
砥石はじっくりと水をしみ込ませてから使ってください。(30秒くらいでし み込みます。) 左の砥石はホームセンターで298円で買ったものです。 両面使える長方形の砥石で、荒砥側が粒度180番、仕上側が320番で す。サイズは片側30mm×40mm×135mmです。 この砥石は万能で包丁 やはさみの研ぎにも使えます。
左図に砥石の動かし方と切れ刃の角度を示します。しかし、あくまで参考で す。これらには農家の人それぞれに得意な動かし方と独自の固定方法がある ようです。 刃物ではなく、砥石を動かすのが一番のポイントです。

使い始めは仕方なく研いだが、その後は切れ味の良さに味をしめて毎回研ぐ ようになる。そうすると刃先の5ミリくらいが白く輝きはじめる。いかにも 切れ味がよさそうな雰囲気がただよう。実際によく切れる。鎌を引くとバ リッと心地良い音がする。丈の短かい若くて柔らかい草でも軽く鎌を引くだ けでベリッと切れる。鎌の切れが悪いと小さくて弱々しい草は刃先に引っ掛 かって根刮ぎ抜けてしまいがちになる。毎回鎌を研いでいると面白いように よく切れる。これに気をよくして毎回研ぐようになった。習字の前に墨を摺 るのと一緒で鎌を研ぐのが癖になる。

鎌を草に押しつけるだけで切れるのが理想である。鎌を押しつけながら鋸の ように引かないと切れないのは鬱陶しい。力任せに切るときは自然にそうな るけれど普通に切るときは刃を草に押し付けるだけで切れたら気持ちよいし 楽である。幾分かは刃を引くように押し当てるのかもしれないが鎌を持つ右 手は手前にグイッと引くだけで切れるのでなければ軽快とはいえない。鎌を 研げば研ぐほどにサクッと切れる。スパッ、スパッと切れるほど草刈りが楽 しくなる。

去年はエンジン刈り払い機をメインに使っていたので鎌は何でもよかった。 毎回鎌を研いだかどうかもあやふやである。ただでさえ切れ味の悪い鎌を力 任せに使っていたように思う。去年使った鎌の最大の難点は刃が薄いこと、 そして刃の持ち手への取り付け部分の曲がり箇所が「か細い」軟弱なもので あったことである。水田の周りの畦道に生える雑草の中には、草の茎まわり が五ミリくらいあって鎌の刃を押し当てたくらいでは切れないほど丈夫なも のが混じっている。刈り払い機の回転刃を当てると回転鋸歯で木材を切るよ うなジャーン、ギャーンというようなけたたましい音をたてる。安物のステ ンレス製の薄刃の鎌では力に任せないと切れない。切れても刃の根元を柄に 取りつける細い部分がグニャリと曲がったりする。そうすると一度に刈る草 の量を減らしたりする。能率が悪い。

今年は刃そのものが厚くて幅広の丈夫そうな重いものを使うことにする。姿 形が同じようなものがあるとき、どちらを選ぶかを決めるにはその重さで判 断するというのがある。鉄をケチらずに使っているほうが大抵は性能のよい ものである。安物ほど軽いのである。年寄りが買い置きしたが使われなかっ た鎌である。刃は錆びてはないが刃先は黒っぽい。ナタ鎌と呼ばれるものら しく柄は40センチくらいある。柄の長さを有効に使うことは少なく、その真 ん中辺りの普通の草刈り鎌と同じくらいの長さで握る。鎌の柄を手前に引く ときその末端が足にぶつかって使いにくかったりするけれどその長い柄の勇 ましい姿形が気にいる。短かい柄の鎌に比べて「ハ」の字形に構えて引っ張 り力を入れやすい気がする。切れ味のよいことに加えて長い柄がカッコよく 見えるところもよい。木枯らし紋次郎の竹串のように長ーい楊枝に似てなく もないなと思う。ちなみに紋次郎が口にくわえている楊枝は、見栄えを 考え原作よりかなり長く設定しているという。いい道具にめぐりあうには 色々なものを試してみるしかない。

前々から家にあった鎌なのでどれくらいの値段のものかは分からない。刃物 屋さんのホームページを見ると2000円から4000円級は珍しくない。大型のも のが高いのは当然だろうが草刈り鎌でもホームセンターの1000円以内のもの は使い心地がよくないだろう。手入れの行き届いた庭ではなく立派に生い 茂った草を制圧するには強持て(こわもて)の丈夫な鎌が適している。使って みないことには良さが分からない。予算のゆるす範囲で値段のよいものを買 い、毎日研ぎながら使うのがベストと思う。

鎌の柄に対する刃の角度も重要である。柄に対して刃が下向き気味であるほ うがよさそうである。鎌の柄を地面に対して平行に地面上を滑らす感覚で 手前に引いている。握った右手の拳が地面を擦る気持ちである。鎌により違 いがあるのだろうが、今使っている鎌の刃は柄に対して地面側を向いている。 柄を握ることで拳の大きさだけ鎌の柄が刃先から柄の持ち手側ほどに地面か ら離れる。そうなっても鎌の刃が土に喰い込み地面を削り取るような角度を 持っているのが望ましい。そうすれば刃先が上向きになって草を持つ左手指 先に近づく危険が小さくなる。鎌の柄と刃の向きがぴったりと一致している と鎌を手前に引くとき刃先が地面に対して仰角を持つ。刃先が地面に対して 常に伏角、地面に食い込んでゆく角度を保っているほうが安全である。それ には柄の長いほうが有利かもしれない。

鎌の使い方についてネット検索してみたが詳しいものは見つからない。さり げなく書かれた内容を自分なりに解釈してやってみるしかない。人は日常茶 飯として上手にこなしていることをわざわざ書き留めようとはしないもので ある。そんなことは当たり前で書くまでもないと思う。私が書かなくても誰 かが既に書いているだろうと遠慮する謙虚が日本人なのかもしれない。

職人さんは目の前の仕事を片付けることに追われているから道具の使い方を 他人に教える暇がない。自分がやっているところを見て技を盗めというスタ イルの人が多いようである。教えを請うと、こちらがやることを添削してく れるが順序だてて始めから懇切丁寧に説明してくれることはない。毎日が忙 しくて他人への教え方など考えたこともないのだからだろう。

ネット上で見つかる新しい何かの道具を使いこなすコツに関する記事は初心 者発信のものが多い。上手く道具を使えたことが嬉しくてツイしゃべりたく なる。その道具に慣れてしまうと、そんな当たり前のことを書くこともない だろうになる。時間が経つとそんな些細なことは誰も言われなくても当然に 気付くことである。書き物を公開する気が失せる。その道で悩んでいる人、 情報を探している人は藁をも掴みたい。見当外れな内容、発信者の勘違いが あっても他の人にとっては考えを進める、深めるヒントになることがある。

一ヶ月も毎日のように草刈り鎌を使っているとコツのようなものを思いつ く。まとまったものは公開しなきゃ、もったいない。さらなる新しい気付き も出てくるだろうが一段落したところをとりあえず纏めておくものも悪くな い。パソコン内に死蔵してしまうと書いたことさえ忘れる。思い切ってネッ トに曝そうという気になった次第である。言ったもん勝ちである。

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