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2011年10月

2011年10月31日 (月)

地図を見ながら歩く(map walking)

地図を見ながら歩く(map walking)

Time-stamp: "Fri Apr 15 17:36:35 JST 2011"

倉敷ツーデーマーチや讃岐うどんつるつるツーデーウォークに参加すると記 念品などの配布物の中に必ずコース地図がある。数百人規模の参加がある大 きなウォーキング大会に私が参加したのは、平成21年の倉敷ツーデーマーチ (3月半ば)と讃岐うどんつるつるツーデーウォーク(4月初め)が初めてであっ た。コースマップをもらっても、地図を手に持って歩くのはうっとうしいの で早々とリュックサックにしまい込む。たぶん大多数の人がそうする。地図 を手に持って歩いている人をほとんど見かけない。

地図にはスタート地点とゴール地点を結ぶコースが太い曲線で描かれてい る。コースの途中に居るとき、そこは地図の上でどこであるかは見つけにく い。名前のある役所、郵便局など地図に載っている建物のそばなら分かる。 野っ原の一本道では他の道と交差する場所とか曲がり角で判断する。地図を 読むときに一番難しいことは周りの景色と地図に描かれた模様の向きを合わ せること(地図の正置)である。いま居る場所が地図上の一点として確認でき たら、次にすることは地図の模様を周りの景色と一致する向きに回す。正置 すると周りにある実際の建物や遠くの山並みと地図に描かれている模様の対 応がよく分かる。自分が南に向いているのに、見ている地図の上が北という のでは困る。そのときは地図を逆さにして地図の南を上にして見るほうがは るかに分かりやすい。

地図を見ながら歩くときは、自分の進行方向に地図の向きを合わせる。「地 図の正置」とは、曲がり角を右に90度曲がるなら地図を左に90度回転させる ことを方向転換する度に繰り返すことである。しかし、歩いているときに地 図と首っ引きになるのは疲れる。ときどき地図を見るくらいにして、コース の曲り角やカーブで地図を正置しなおすくらいがよい。しかし、そのよう に、はしょって正置をサボると地図上での現在地を見失うおそれがある。

地図上でおよその現在地しか分からないときは、先ず地図を正置しなおすこ とである。周りの景色と地図の模様の向きが一致していれば地図の上での現 在地を見つけやすい。地図に描かれた目立つ建物とか遠くの山並みが周りの 景色と一致する地図上のおよその位置を見つかる。そこが地図に描かれた道 路の曲がり角とか建物の前とかであれば地図上の現在地として確定できる。

地図の正置には方位磁石を小道具として使うのがいちばん速い。方位磁石が なくても地図の正置はできる。地図と景色を見比べて、アーデモナイ、こう でもないと地図を回転させながら頭をひねる。その方法では確信できる地図 の向きになるまでに時間がかかる。歩きながらの手順は簡単で速やかにでき るものでなければならない。

ウォーキング大会ではたいていゼッケンを背中(リュック)に付けて歩く。地 図を見なくても前を行く人についていけばゴールまで辿りつける。間違えや すい分岐点には案内人がいるか、または案内標識がある。アンカー前の最後 尾の行列では前後の人がまばらになり迷子になりそうな気がする。しかし、 地図を頼りに進むようなことは、よほど参加者が少ない大会でないかぎり、 あり得ない。地図なしでなんとかなるものである。

地図を見なくてもゴールできるけれども、地図があればゴールまで、あとど れくらい残っているかが知れる便利がある。不案内な道を歩くときは、今い る地点が全行程の半分より前なのか後なのかすら分からない。道路標識や看 板を見て地名が分かっても目的地までの残りの距離は知れない。地図上にそ の地名が見つかればおよその位置が分かる。残り僅かとなれば、もう一息と 元気になれる。人は何事であってもその進捗状況を知りたいものである。物 事が何時まで続くか分からないのは精神衛生上よくない。疲れてくると前に 進む(歩く)気力が萎えてしまう。正しい道筋を知るために地図を使うだけな く、コース全長の何パーセント地点を歩いているかを知るために地図を使 う。あとどれくらいが分かると難行も苦にならない。コースマップを次の二 つのために使う。

  1. 指定されたウォークの道筋(現在地)を知る
  2. ウォークの進捗状況を知る。

ウォーキング大会で地図を見ながら歩くことにした最初は平成22年5月30日 (日)の井原線全線ちゃれんじウォークであった。このときはウォークの道筋 を知るために地図が是非とも必要だった。

井原線全線ちゃれんじウォークはゲリラ開催のウォーク(ひょっとしたら初 めて)だから参加者は少ないと思われた。開催のアナウンスメントは井原線 まちおこしネットの岡田さんのブログにしか流れていない。毎年定期的に開 かれているものではなく試験的にやってみるという感じである(平成23年は 予定されていないようである)。参加は50人くらいはいたと思う。確かな参 加者数は下記ホームページ(フログ)にも書かれていない。完歩者は17名だっ たらしい。

御参加頂きましたみなさま、ありがとうございました。まずは、総社駅での 「ゴールでの不手際についてお詫び申し上げます。ゴール(井原鉄道井原線 の改札)に15時20~30分頃から17時50分まで係りの者がおりまし たが、お会いすることができなかったようで申し訳ございませんでした。 ゴールの井原鉄道総社駅がJR総社駅の2階の奥まった所で分かり辛かった ようです。『井原線全線踏破証』は当日第12号まで発行しました。今回早 く着かれたことがわかった3名様、後日、第13・14.15号、小さな証 明書を送らせて頂きたいと思います。その後、時間を過ぎて2名の方がゴー ルしたよ。と電話連絡頂いております。合計17名の踏破者が確認できまし た。」

全行程は43.0kmで8:20にスタートして15:50にゴールする強行軍であった。 所要時間7時間30分だから平均時速5.7kmになる。普通速は分速80メートル (時速4.8km/h)だから相当な早足になる。休憩時間込みでこの速さは辛い。 スタートの8時20分を前倒しされると神辺駅の反対側の総社・清音駅側から は参加しにくい。ゴールまでに10時間をとって18時20分までならよかったと 思う。上記ブログによると予定の15時50分かそれ以前のゴールもあったよう で驚く。17時50分までゴールには受付係がいたという。その場合の所要時間 は9時間30分で平均時速は4.5km/sになる。これはアンカーの二人組の速さく らいになる。

私の全線ウォークの後半の様子は次のようであった。矢掛駅と三谷駅の中間 から3人グループで歩く。そのあと伴走車の岡田さんから我々の後ろに2人が 居ることを知らされる。川辺宿までの間で三人から一人の若者が先行して見 えなくなる。川辺宿で2人の相手方はリタイアして井原線で神辺方面に帰 る。川辺宿駅でアンカーと思われる二人組と合流して三人で清音駅に向う。 清音駅で私はリタイアする。川辺宿までに膝痛があり限界を感じる。最後の 3.5km区間を除く39.5kmに8時間50分かけたので平均時速は4.4km/hくらいに なる。殆ど休憩を取らない強行軍であった。清音到着は17:10である。その 後、アンカーの二人はゴールの総社駅に向う。距離からみて総社駅到着は 17:50頃と思われる。9時間30分なら平均時速は4.5km/hになる。

下記の括弧の中の「予」で始まる時刻は主催者(岡田さん)の用意した井原線 各駅到着時刻の自己申告記録表に、参考時刻として書かれている予定到着時 刻である。これは平均時速5.7km/hとしているので、普通速の時速4.8km/hで 歩く人達は、スタートから先に進むに連れて予定時刻からどんどん遅れる。 途中リタイアが相次いだのは健脚すぎる人達用の到着時刻におそれをなした せいかもしれない。

スタート:神辺駅(予8:20)→2.2km→湯野駅8:57(予8:45)→2.0km→御領駅 9:22(予9:05)→3.5km→子守唄の里高屋駅10:00(予9:45)→1.8km→いずえ駅 10:21(予10:05)→1.8km→井原駅10:42(予10:25)→3.9km→早雲の里荏原駅 11:27(予11:10)→3.5km→小田駅12:06(予11:45)→5.4km→矢掛駅13:19(予 12:40)→3.5km→三谷駅14:13(予13:15)→4.1km→備中呉妹駅15:10(予13:55) →3.0km→吉備真備駅15:46(予14:25)→2.3km→川辺宿駅16:30(予14:50)→ 2.5km→清音駅17:10(予15:15)リタイア→3.5km→ゴール:総社駅未着(予 15:50)

コースが43キロと長いこと、そして参加者数が少ないことからウォーク途中 で自分の前にも後にも他の参加者が見えなくなることが予想される。自分の 前を歩くひとは見当らない、そして後ろに見える一人は参加者だろうかそれ とも個人で別に歩いている人なのだろうかと思う時間帯が実際にあった。

コース上の迷いやすい箇所に案内人がいるわけではないし全線ウォークのた めの案内標識もない。頼りになるのはコース地図とほぼ全線が高架になって いる井原線の線路敷である(高架は遠くからでも見通せる)。しかし、線路が トンネルに入ると山裾を迂回しなければならない。そういうときは地図を見 ながら進むしかない。

地図を頼りに進むに必要なことは、現在いる場所が地図上で確定できること である。それには地図を正置(せいち)しなければならない。地図の正置とは 実際の地形と地図に書かれた模様(地形)の向きを一致させることである。

カーナビゲーションに表示される地図は車の進行方向が地図画面の上(垂直) 方向になるように表示される。曲がり角を曲るたびにその角度だけ画面上の 地図が回転する。例えば北向きに進んでいるとき右(東)方向に直角に曲がる と画面上の地図は反時計方向に90度だけ回転する。このことが地図の正置で ある。

カーナビゲーションは地図の正置を自動的にしてくれる。紙に印刷された地 図を使うなら人力で地図を正置しなければならない。現在位置の周辺を描い た地図があるとする。周辺を見回して目立つ大きな建物とか山並みや鉄塔な どの目印となるものを地図上で見つける。それらの目印により、あたりを見 渡した地形と地図に描かれた模様(地形)の向きを合わせるようにすれば、そ れが地図の正置になる。

現在いる場所の周りを含む地図を渡されて、貴方のいる場所は地図上のこの 場所ですと教えられたとする。その辺りを見回した景色(地形)と地図に描か れた図形(地形)の向きを一致させることを考える。あるいは人間が実際に歩 いて回れる実物の庭園とそれを忠実に再現した箱庭(ミニチュア)があるとす る。目の前に拡がる庭園の様子と手元に置かれた箱庭が同じ眺め(向き)にな るようにする作業である。

たぶん箱庭であれば数秒で合わせられる。しかし、自宅周辺の25000分の1の 地形図と回りの景色が一致するように地形と地図の模様の向きを合わせるこ とは難しい。隣りの家とか遠くの山の形とか目に付く目標物を基準にして地 図と地形の向きを合わそうとする。これには結構と時間がかかる。早くても 一、二分、もたもたしていれば五分もかかるかもしれない。それでも確信が 持てなくてあやふや感が残る。

立ち止まって地図を正置するのではなくて、歩きながら手に持っている地図 を正置しようとする場合を考える。地図の正置に五分もかかるとその間に 400メートルも進む(分速80メートルとする)。目標の曲がり角を通りすぎる かもしれない。手元の地図や周りの景色ばかりに気を取られて足元に注意が 向かない。わずかな段差に足を取られてコケるかもしれない。それよりなに よりそのような時間のかかる面倒なことはしたくない。ただでさえ地図で手 が塞がりうっとうしいのである。

地図の正置を素早くするには方位磁石(コンパス)を使う。方位磁石を働かせ るために電池は要らないし、起動時間もかからない。あまりに簡単な仕組み の道具であるために痒いところに手が届く便利な働きをしてくれない。使い こなすには練習して慣れることが必要になる。

方位磁石を使って地図を正置する方法はいたって簡単なものである。地図の 上に方位磁石を載せる。そのとき地図の南北・東西方向と方位磁石の方位目 盛リングの南北・東西方向を合わせる。方位磁石を載せたままの地図を回転 させて方位磁石の磁針が目盛リングの北方向を指し示すようにする。これで 地図上に描かれた模様の向きが目の前にある地形の向き(景色)と一致する。

ここで一つの問題がある。地図の南北方向と方位磁石の指す南北方向の間に は僅かなズレがある。地図の南北方向(真北)と方位磁石の磁針の指す南北方 向(磁北)が角度にして凡そ7度だけ食い違う。真北に対して磁北が、角度に して約7度だけ西寄りになる。これを「(真北に対して)磁北西偏7度」のよう に表現する。たいてい括弧書きの部分は省略されるので紛らわしい。何に対 して何がどのような関係にあるかを表現する文章の中から「何に対して」が 抜け落ちているからである。使い道によっては「(磁北に対して)真北東偏7 度」といわれたほうがピンと来るかもしれない。

登山家向けの平塚晶人著「地図の読み方」1988年, 小学館に次の記述があ る。獣道のような道なき道の歩き方を詳しく説明している本です。

「磁石は赤針(針の赤く塗られた側)が北を指すのですが、実はこれが正確に 真北を指さずに、やや西にズレた方向を指すのです。これは地球のN極が北 極から少しズレたところにあることが原因です。これが磁石の北、つまり磁 北です。日本ではこれが角度にして北から西に約7度ズレています。正確な 数字は地図の余白の右下の5というころに書いてありますが、まあ7度と覚え ておけが問題はありません。」

ごく普通の方位磁石は丸型のケースの中で中心を支えられ紅白に塗り分けら れた磁針が回転する構造になっている。回転する磁針を収めるケース(カプ セル)は丸型が最適である。磁針の中心からの方角を示す方位目盛には円形 リングが相応しい。

歩きながら、手に持っている地図の上に載せた丸型方位磁石の方位目盛の北 を地図の北と合せる手加減は難しい。丸型目盛の南北方向と地図の南北(地 図の縦枠方向)方向を揃える作業の微妙さに苦労する。方位磁石の土台が南 北・東西方向に直線部分のある四角な形であると方向合わせが楽になる。そ れでも正確を期して「(真北に対して)磁北西偏7度」を盛り込もうとするの は微妙にすぎて無理がある。

このようなときに便利なのがプロトラクター(protractor)タイプのシルバ (silva、メーカー名)コンパスである。ここにいうプロトラクターとは分度 器である。分度器といっても学校でおなじみの半円形の分度器が方位磁石に くっついているわけではない。方位磁石の目盛リングには北を零度とし時計 方向に東を90度、南を180度、西を270度とする方位角度目盛が打ってある。 これが分度器になる。学校で使う分度器は半円形であるけれど、製図器を取 り揃えた文房具屋さんには0度から360度(0度と一致する)のすべての目盛が ある真ん丸な全円分度器がある。方位磁石の目盛リングに打たれた方位角目 盛が全円分度器に相当するわけである。

普通の方位磁石を、透明素材で出来た長方形の板(プレート)の短辺寄りに取 り付ける。方位磁石の底も透明素材である。これを地図に載せても下にある 地図の模様の大部分が透けて見える。プレートの長辺方向中央に直線(中心 線)が引かれその上に磁針の中心がある。磁針から遠い方向に向かう中心線 に矢印が付けられる。円形方位磁石の方位目盛リングはプレートに対して回 転できるようになっている。また方位磁石の底板と目盛リングは一体になっ ている。目盛リングと一体の底板には南北方向(方位角180度の南から方位 角0度に至る)の向きの矢印が書かれている。プレートに対して、目盛リング と底板を含む方位磁石の全体が自由に回転できる構造を持つ。

シルバコンパスのオーソドックスな使用法であるSILVA 1-2-3システムは次 に書かれている。なおシルバコンパスの本家サイトは非常に重い。

silva 1-2-3の方法は、先ず地図上の現在地から地図上の目標地に向かう直 線にシルバコンパスのプレートの長辺を(中央線の矢印が現在地から目標地 に向かうように)合わす。次に方位磁石の目盛リングの北方向を地図の北方 向に合わす。地図の真北に対して磁北西偏7度であることを盛り込むなら地 図の縦枠線に対して目盛リングを7度だけ左(西)寄りにセットする。そうし たらコンパスを地図の上から離して身体の正面前方向にプレートの中央線矢 印が向くようにささげ持つ。身体を回転させて方位磁石の北方向に磁針の赤 針が向かうようにする。そのときの正面前方が進むべき方向になる。

ここで注意すべきは、silva 1-2-3法の手順のうち地図上の現在地から目標 地にプレートの長辺を合わす手順及び方位磁石の目盛リングの北方向を地図 の北方向(正確には磁北西偏7度の修整をした方向)に合わす手順が終わった らシルバコンパスを地図の上から離してしまうことである。身体の正面を進 行すべき方向に向ける手順では地図を必要としない。1-2-3の手順のうち1-2 ではシルバコンパスを地図上に置いて目盛リングを回してセットする。シル バコンパスを身体正面に持って進むべき方向に身体を向ける3の手順で地図 は不要になる。

直進方向を決めるにはsilva 1-2-3の方法が正確かもしれない。しかし曲が り角に到達したなら再び次の目標地を地図上に見つけて目盛リングを地図の 北方向に合わす一連の操作は面倒である。目盛リングを回すのは鬱陶しい。 歩いているときは手元が不安定で回しにくい。リングを合わせる微妙な手加 減が難しい。歩きながらのsilva 1-2-3法には無理がある。ましてやタイム トライアルで走りながらのオリエンテーリングで使える方法ではない。

silva 1-2-3法を捨てて、シルバコンパスを地図の正置する用途だけに使う ならば、目盛リングを回転させる必要がなくなる。その方法は次の通りであ る。先ず、シルバコンパスの方位磁石に付いている目盛リングを方位角の7 度に合わせる。ここにおける7度は「磁北西偏7度」の角度である。プレート の中央線を方位角度の7度、(方位角度は時計回りなので)東寄り7度になる。 つまり磁北に対して真北を東偏7度にするわけである。以後は目盛リングを 触らない。最初に目盛リングをセットしたらその後は回すことをしない。

地図を正置するには、先ずシルバコンパスのプレートの長辺(中央線)を地図 の縦枠線(南北線)と並行になるように地図の上に置く。向きは中央線の矢印 が北方向(プレートの方位磁石のある方が南方向)にする。地図上にあるシル バコンパスが動かないように地図とコンパスの二つを押え持って回転させる (身体を回転させるのではなく、手に持っている地図とコンパスを回転させ る)。磁針が目盛リングの0度(北)方向に一致すれば地図が正置されたことに なる。

オリエンテーリングではサムリーディング(親指読み)という方法を使う。地 図上の現在地の上を常に親指で押える。身体の移動に合わせて地図上の親指 の位置を地図をなぞるように動かす。地図上での現在地を見失うことがない ようにするためである。親指を地図上の現在地に置くためには地図の折り畳 みを縦枠方向(南北方向)または横枠方向(東西方向)でない斜めに折ったほう がよい場合もある。そうするとシルバコンパスのプレートの長辺を南北方向 に合わすための地図の縦横の基準線がなくなる。

地図の折り畳み方が不規則で地図の縦横の枠線の向きが分からないときは地 図上に書かれている文字の向きに注目する。縦書きや横書きの文字は南北か 東西の枠線に並行になるように書き込まれている。それらの文字の向きから 真北を判断する。ただし川や道路、鉄道そして尾根や沢といった一点を指す のではなく曲線状のものを指し示す名前の文字は勝手な方向に並んでいる。 こういう不規則配列の文字は使えない。

25000分の1の地形図をそのまままるごと持って歩くことは少ない。こまかく 折り畳んでしまうと拡げる手間がかかる。そこで必要な部分の原寸コピーを 使うことが多い。そうすると原図の余白部分にある磁北の偏角は抜け落ちる だろう。そのときは代表的な磁北西偏7度を使っておけば問題ない。ウォー キング会で渡されるコースマップにも偏角は書かれてない。親切にも偏角分 (約7度)だけ斜めにコピーしている場合がある。とくにオリエンテーリング 用の地図は縦方向が磁北になるように調整されているらしい。

地図を見ながら歩くことには、(1)指定されたウォークの道筋(現在地)を知 る、(2)ウォークの進捗状況を知る、の二つの便利がある。これまでは現在 地を知ることの大事を考えた。次にウォークの進捗状況を知る大事に気付い た経験を書いてみる。

平成22年4月初めの讃岐うどんつるつるツーデーウォークの初日は膝痛も あって控え目な10キロ参加とする。二日目は少しくらい膝痛が出ても翌日に 差し支えないだろうと20キロに参加する。20キロコースは初めてでありコー スの道筋をまったく知らない。地図を見ても土地勘がないから役立ちそうに ない。見ても見なくても同じなら地図を手に持つのはうっとうしい。さっさ とリュックサックに仕舞い込む。ひたすら前を行く人についていくことにす る。20キロは自由歩行で歩く。つまり途中の休憩は個人の判断で取る。コー ス半ばの昼食休憩はどうしても取ることになる。しかしそれまでの10キロ2 時間の歩きの途中での休憩は参加者がめいめい勝手に取らなければならな い。もし10キロ2時間を歩き通したら足を痛めるだろう。

私は初参加(平成21年)の40キロで昼食休憩以外にはほとんど休憩なしで歩き 通して大失敗したことがある。辛うじてゴールできたがゴールから自宅まで の道のりで左膝の痛みに悩まされた。二、三日は家の中を歩くのも辛かっ た。ウォークでの休憩の大事を思い知ることになった。30分毎に3分または1 時間毎に5分の休憩を取れば膝痛はほとんどなくなることに気付いたのいは それから2年後のことである。

平成22年の讃岐20キロの当時は休憩の大事さに未だ気付いてない。ほとんど 休んでないのである。前半の中程に山道がありその下り坂で膝痛におそわれ た。瀬戸大橋の陸上部の高架部分沿い下にある直線道路を歩く間が辛かっ た。いったいこの直線をどこまで進むのだろう。行けども行けども果てしが ないように見える。膝痛を抱えて疲れきっているのでよけいに遠く感じる。

平成23年の倉敷ツーデーマーチ40キロ参加の直前に、練習がてらコース上を 含む約20キロを歩いてみる。足の痛みと膝痛が翌日まで残る。これでは40キ ロは無理かなと思い悩む。そこでハッと気付くことがあった。練習がてらの 20キロをほとんど休みなしで歩いている。ここでようやく途中休憩の大事に 気付いたのである。二回目の練習20キロでは30分毎3分または1時間毎5分を 目安に休憩を取ってみた。そうすると翌日に残る疲れが驚くほどに軽快した のである。翌朝の歩きでも膝の痛みが少ない。

途中で適宜休むことの大事に気付いた成果を生かすべく平成23年3月12日( 土)の倉敷ツーデーマーチ40キロ(瀬戸大橋コース)に参加する。ところが前 日3月11日(金)の14:46に東北地方太平洋沖地震という巨大地震があった。翌 日には瀬戸内海にも津波が来るかもしれない。そのため急遽、ゴール近くの 沿岸部をショートカットした26コースに短縮される。かなり疲れたけれど膝 痛は殆どなく翌日も難無く歩けた。

そして平成23年4月初めの讃岐うどんつるつるツーデーウォークの初日20キ ロに参加する。昨年につぐ二回目の同じコースであったため少しの 土地勘があり気分的に楽であった。地図を手に持ってシルバコンパスを使い 現在地を確認しながら歩く。こうしてウォークの進捗状況を知ることの大事 に気付く。どのあたりを歩いているかが分かると気分的に余裕が出来て途中 での休憩も臆することなく取れる。休憩を取ることで身体も楽に、気分も楽 になる。長距離だから疲れるのは仕方ない。楽しく歩けた。

何かに成功したときは何がよかったのかが分からない。これもよかったしア レもよかったのだろう。結局のところ運がよかったのかなになる。失敗した ときに思い付く理由はそれほど多くない。それを一つずつ検討すれば決定的 なものが浮かび上がる。

最初の40キロウォーク参加の後半から予想だにしなかった左膝の痛みに悩ま される。翌日から二、三日は家の中を歩くのさえ辛かった。ゴールまで完歩 できたからウォークとしては成功したけれど、まともに歩けない怪我といえ るほどのダメージをかかえこむ大失敗をした。

その原因について色々と考える。先ずは靴である。多くの人はウォーク用の 靴を履いているように見える。私は安売りの運動靴である。靴を替えれば膝 痛がよくなるのではと思う。しかし代わり映えしない。歩き方のフォームを 変えればとナンバ歩きを調べる。練習が面倒で身につかない。

キツい上り坂では無意識のうちに前屈みで膝を伸ばしきらない中腰姿勢の歩 幅を小さくした歩きになる。下り坂で膝を痛めない対策として、この上り坂 スタイルを下り坂でやってみる。膝を伸ばしきらないので膝関節の突き合わ せ衝撃が少なくなるのではと考える。膝が、電車のパンタグラフのように常 に曲がっておれば筋肉(バネ)が衝撃を吸収してくれるのではなかろうか。こ れは下り坂での膝痛に効果があった。しかし、依然として平地を歩くだけで も膝は痛くなる。

さてどうしたものかと考え込んでいるときに、ふとウォーキング途中の休憩 の取り方に問題があるのではとひらめく。平地は楽々と歩けるので、ろく すっぽ休憩を取らずに歩き続けている。そこで30分ごとに3分とか1時間ごと に5分の休みを入れながら歩いてみる。そうすると翌日に膝痛で困るような ことにならない。最初の40キロ歩きの失敗から2年も経ってようやく途中休 憩の大事にたどりつくことができた。膝痛をかかえこまないために一番大事 なことは費用(靴とかサポーター)も手間暇(練習)もかからない拍子抜けする ほどに簡単なこと(休憩)であった。

人は最悪な極限状況にまで追い込まれないと大事なことに気付かないもので ある。考えられる原因はこれしかないというまでの悲惨を経験して初めて気 付く。失敗を振り返れば成功するためのヒントが必らず見つかる。中途半端 な成功では反省しない。大失敗の悔しさがあればこそ振り返るのである。

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