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2010年8月

2010年8月29日 (日)

pdfファイルのnamazuによるインデックス付けに失敗(failure)する

pdfファイルのnamazuによるインデックス付けに失敗(failure)する

Time-stamp: "Mon Jun 28 15:42:01 JST 2010"

最近namazuのインデックス付けで

Unable to convert pdf file (maybe copying protection)

のメッセージをよく見るようになる。こういう場合は先ず、pdfファイルか らその文章部分をテキストファイルとして抽出するpdftotextが正常に動く かどうかを見る。もしそれに失敗するなら、pdftotextをコマンドラインか ら使うときに吐き出されるエラーメッセージを手掛かりとする。

namazuに問題があるのかnamazuが外部ツールとして使うpdftotextに問題が あるのかを切り分けなければならない。それにはpdftotextを単独で使う動 作確認をする。pdftotextがちゃんと動くならそれを道具とするnamazu本体 の不都合ということになる。

このメッセージを吐き出しているのはnamazu/share/namazu/pl/pdf.plにな る。pdf.plの百行目あたり(namazuのバージョンは2.0.12)に次の行がある。 これはnamazu/share/filterディレクトリ辺りにgrep検索を掛けると見つか るだろう。

return 'Unable to convert pdf file (maybe copying protection)';

この行の周辺に手掛かりがある。namazuのインデックスを作る作業はイン タープリタ言語のperlで書かれている。そのためインデックス付けに失敗す るようなときはperl言語で書かれたものを少し改変するだけで動かすことが できる可能性が出てくる。

ところで、namazu2.0.12のpdf.plはwindows meでは動かない。その回避法の 解説が次のページにある。

「ただ、Namazu2.0.12に同梱されているpdf.plは、98、MeのWindows9x系で うまく動作しませんでした(pdf.plにMS-DOSのコマンドラインで使用できな い標準エラー出力をリダイレクトする記述があるのが原因のようです)。
Namazu2.0.12をWindows98など9x系にインストールした場合、新しいpdf.pl がうまく動作しませんでした。mknmzを実行すると、各フィルタをロードす る時点(?)で
コマンドまたはファイル名が違います.
とDOS窓にメッセージが出ます。その後、インデックス作成自体は進みます が、pdfファイルはすべてUnable to convert pdf file (maybe copying protection)になります。xpdfが1.00以前と認識され、-enc EUC-JPでな く、-eucjpオプションで処理されてしまっているようです。暫定的な対処方 法を次に示します。
pdf.plの44-47行目の
my $ret = `$pdfconvpath 2>&1`;
if ($ret =~ /^pdftotext\s+version\s+([0-9]+\.[0-9]+)/) {
$pdfconvver = $1;
}

#my $ret = `$pdfconvpath 2>&1`;
#if ($ret =~ /^pdftotext\s+version\s+([0-9]+\.[0-9]+)/) {
#$pdfconvver = $1;
#}
$pdfconvver = 1.01;
と書き換えます。
44-47行目はpdftotextをオプションなしで実行して標準エラー出力を変数に 入れ、エラー出力の先頭部分にあるバージョンを示す値を、正規表現を使っ て取り出しているのですが、2>&1という記述はMS-DOSのコマンドラインでは できないため、バージョンを示す値が取得できず、 $pdfconvverの値が0に なってしまいます。このため、上で示した暫定的な対応ではバージョンを示 す値を取り出す処理の部分(44-47行目)をコメントアウト(行頭に#を付ける) し、次の行(48行目)に$pdfconvver = 1.01;(1以上の値なら何でもOKです。 xpdf3.00は3.00)を記述し、強制的にバージョンを示す値を与えています。」

現在使っているpdftotextは角藤さんのtexのパッケージに含まれるものであ る。これは次にある。

pdftotext.exeはpdftex-w32.tar.bzに含まれる。pdftotextで日本語を扱え るようにするためのファイルもこの中にある。これさえあればnamazuにより pdfファイルにインデックス付けできる。私は現在のところtexからは遠ざ かっているがその昔に使った角藤版texをインストールしたままである。

texを使うことがない、知らない人はpdfを扱うためにだけ角藤版texを入れ る気にはならないだろう。それならxpdfのサイトにあるwindows版の pdftotextにしたほうがよい。

まずpdftotext.exeをコマンドラインから使ってpdfファイルがテキストファ イルに変換できるかどうかを確認する。そうすると次のメッセージが出る。

D:\home>pdftotext -enc Shift-JIS siryo13.pdf
Error: Couldn't find unicodeMap file for the 'Shift-JIS' encoding
Error: Couldn't get text encoding

namazuでインデックス付け中に出る次のメッセージ

Unable to convert pdf file (maybe copying protection)

の原因は、namazu以前のpdftotextがテキストファイル化に失敗することに あった。そしてそれはunicodeMapファイルがないということらしい。この メッセージはpdftotextを単独で使ったから表示されたのである。namazuか ら呼び出されたpdftotextは余分なエラーメッセージを出さないモードで実 行させられているために伝わらない。

unicodeMapとは何であろうかとreadmeファイルなどを読む。

角藤版LaTeXのインストールディレクトリ d:\tex\share\texmf\doc\pdftex\baseにあるpdftotext.txtが英文の使い方 解説である。tex/share/texmf/doc/pdftex/base/PDFTEX-W32.txtに日本語化 法の記述がある。

「xpdf 付属の Derek B. Noonburg さんによるプログラムを 5 個入れてお きます。ヘルプファイルはこのディレクトリにあります。なお、これらは xpdf 2.03 付属のユーティリティです。 pdftotext.exe, pdftops.exe, pdfinfo.exe, pdfimages.exe, pdffonts.exe」

日本語化法によるとフォント情報の入った「pdftotext-supp.zip」を D:Resourceディレクトリに展開する。その際に\tex\bin\xpdfrcにあるファ イル配置にすると面倒がない。違うならxpdfrcを修整する。

tex関連として別にインストールしているGhostscriptのサブディレクトリに Resourceがある。この中にCMapディレクトリもある。これが使えそうに見え たが、よく見ると「pdftotext-supp.zip」のルートにあるファイルがない。 そこで解説に従って「pdftotext-supp.zip」を使うことにする。

PDFTEX-W32.txtの解説通りにd:\Resoueceディレクトリを作り pdftotext-supp.zipを展開する。

作業後に次を打つ。最後の「-」は標準出力に出力することを表す。

pdftotext -enc Shift-JIS foo.pdf -

そうするとエラーメッージが次に変わった。

D:\home\>pdftotext -enc Shift-JIS siryo13.pdf
Error: PDF version 1.6 -- xpdf supports version 1.5 (continuing anyway)
Error: Bad annotation action

unicodeMapファイルがないというエラーからpdfのversionに関するエラーに 変わった。実は、namazuの使い始め頃にはd:\Resourceディレクトリを作り pdfファイルのnamazuインデックス付けできていたのである。ハードディス クが残り少なくなったときにうっかりしてd:\Redourceを削除したらしい。

pdfのバージョンが1.6に対してxpdfのバージョンが1.5なので蹴られてい る。バージョンチェックを回避する方法はないかとも考える。pdfのバー ジョンの問題だからpdftotextのバージョンを上げて対応できるようにする しかない。本当にコピープロテクトのために拒否されているのかpdftotext が対応してないことが原因なのかはpdftotextをバージョンアップしてみる しかない。

なお「pdftotext -v」に対しては「pdftotext version 3.00」が返る。これ はpdftotextのバージョンであってそれが扱えるpdfのバージョンを言ってい るのではない。namazuが出すところの

Unable to convert pdf file (maybe copying protection)

というメッセージはpdfを処理できないと言っているだけである。その原因 としてコピープロテクトもありうるとする。昔はそうでもなかったのであろ うが現在はコピーできないようになっているpdfが結構多い。どう考えても プロテクトの必要ないものに保護がかかっている。作者がその辺りをチェッ クしてないのだろう。その昔の電子メールソフトにhtmlメールをデフォルト にするものがあった。それと似ている気がする。

今回のトラブルは現用のweb2c753のpdftotext.exeがpdfの最新である1.7 バージョンを処理できないことが原因とみる。そこでpdftotext.exeが含ま れる角藤版の最新版であるweb2c-2010を最小インストールする。その状態で は、やはり次が表示される。

D:\home>pdftotext -enc Shift-JIS siryo13.pdf
Error: Couldn't find unicodeMap file for the 'Shift-JIS' encoding
Error: Couldn't get text encoding

現用版のweb2c753を削除するときに念のためd:\Resourceも削除したからで あった。再びd:\Resourceを作る。そうしたらエラーがなくなった。ただし それでもテキスト変換できないpdfファイルがある。それらはコピープロテ クトが掛かっているものである。

なお、角藤版のpdftotextは元祖Xpdfをもとにしているらしい。私はtex環境 を持っているので新たにxpdfを入れるのではなくて web2c-2010に更新する。そうすることでpdfのバージョンが1.6だからダメと いわれるのを回避することができた。

texを使わないのであればxpdfのバイナリを使う。

``Xpdf is an open source viewer for Portable Document Format (PDF) files. (These are also sometimes also called 'Acrobat' files, from the name of Adobe's PDF software.) The Xpdf project also includes a PDF text extractor, PDF-to-PostScript converter, and various other utilities.
Xpdf runs under the X Window System on UNIX, VMS, and OS/2. The non-X components (pdftops, pdftotext, etc.) also run on Win32 systems and should run on pretty much any system with a decent C++ compiler.''
``x86, DOS/Win32 -- pdftops, pdftotext, pdfimages, pdfinfo, and pdffonts only:
Win32 (built with MSVC): xpdf-3.02pl4-win32.zip (2046671e bytes)
DOS6 (built with djgpp, with DPMI support from csdpmi5b): xpdf-3.02pl4-dos6.zip (1754621 bytes)''

windows版はpdfを閲覧するためのソフトとしてではなくpdf関連のユーティ リティが提供されている。日本語化のためのランゲージパックも用意されて いる。

``The Xpdf language support packages include CMap files, text encodings, and various other configuration information necessary or useful for specific character sets. (They do not include any fonts.) Any or all of these can be installed by simply unpacking the tar file and adding a few lines to your xpdfrc configuration file (see the README file inside each package for details).
Japanese: xpdf-japanese.tar.gz (494624 bytes)''
「PDFファイルはたまに説明書などで見たりする程度であまり使う場面もな かったのですが、今回買ったMP4プレーヤーの説明書が英語だったのでおお ざっぱに内容を把握しようと思って翻訳ソフトにかけようとしたところ… しっかりコピープロテクトがかかってました。テキストがコピーできないで すのよ。そういえばPDFのコピープロテクトで困ってる人の記事が以前に あったよなと思って検索してみると、大抵の人はデスクトップをPrtScnキー でキャプチャーしてしまってその画像からOCRソフトでテキスト化してる模 様…
でもそれって大変ですよ。私も以前OCRソフトに過度な期待をしていた時期 があってOCRソフトを使っていた時期がありましたが、あれって誤字が必ず 出るのでそれを修正するのにも時間がかかるんですよね。
たとえ英文字であってもmnruvあたりの文字が絡むとかなりの確率で誤字が でます。中には辞書搭載のもあるので英語はいいとしてもスペイン語だとダ メダメだったりします。
とにかく50ページもある説明書を画像にしてOCRにかけるなんて話になりま せん。でもパスワードがかかったPDFをそれ以外の方法でテキストコピーす る方法ってなかなかないんですよね。
しかし、粘って探したらありました。PDF Unlockerというものが、それもフ リーソフトです。
こいつはコピープロテクトのかかったPDFファイルを「PDF Unlocker」のア イコンにドラッグ&ドロップするだけでプロテクトがかかっていないPDF ファイルを作成してくれます。
これはあくまで開けるけれどプロテクトのかかったPDFファイルのロックを 外してくれるだけなので開くのにパスワードが必要なファイルはパスワード が必要になります。」

pdfのコピープロテクトを外すのは大袈裟に言えばシステム破りになる。そ して、この手のフリーソフトはwindows meを拒否するのではないかと思う。 namazuが扱えないpdfがあったらコピープロテクトの有無を調べてみる。掛 かっていたら諦めよう。

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2010年8月21日 (土)

磁北(magnetic north)と真北(true north, geographic north)

磁北(magnetic north)と真北(true north, geographic north)

Time-stamp: "Thu Jun 10 10:48:15 JST 2010"

地図に磁北線が書き込まれていれば磁北西偏7度などを意識することなく単 純に磁北線と磁針を合わせればよい。

地図に磁北線の書き込みがない場合は目分量で補正する。とりあえずズレは 7度である。さて、それはどちら方向であろうか。もし反対にしたら2倍の14 度もズレてしまう。ここで迷う。迷ったら偏差なしとしたほうがよい。

「磁北西偏7度」と聞いてピンと来る人なら問題ない。私は、エーッとドウ ダッケになる。この御題目には抜け落ちているものがある。何(偏りのある もの)が何(偏りのない基準となるもの)に対して西寄りに7度だけ偏っている かを述べている題目の中で「基準とする偏りのないもの」が何であるかにふ れていない。「真北(を)基準(として)」を題目の前に付けなければいけな い。単に「磁北西偏7度」と唱えただけでは、イザ使う段になってエッ、 エーッとなってしまう。

ところでコンパスを持っている自分自身が動かない(回転しない)かぎり磁針 は動かない(回転しない)。実は自分が回転してもコンパスの磁針は回転しな い。それは磁北を指し続ける。回転しているのはコンパスのケースでありそ れを持つ自分なのである。

一緒に手に持つコンパスと地図のうちの地図はどのようにでも自由に回転で きる。動かない磁針に対して図面を回転させるほうが考えやすい。そうする と(磁北を基準として)「真北東偏7度」と唱える題目のほうが分かりやす い。

「真北(true north)に対して磁北(magnetic north)が西偏(westerly)7度」 を言い換えると「磁北に対して真北が東偏(easterly)7度」ということであ る。コンパスは回らないのであるから地図を東に7度回すのである。

そこで磁針に対して地図外枠線が7度だけ東寄り(右回り寄り)になるように 置くと憶える。そして、先ずは磁針と外枠線を合わせる。それから磁北西偏 ズレ(真北東偏ズレ)を意識して気持ち右回しするというふうに二段階に分け るのがよい。

歩きながら前後の人との間隔に注意して地図とコンパスを見たり周りの景色 を眺め目の端で足元の凸凹・段差を追うという多重「ながら」動作のウォー キングでは一つ一つの動作を単純化しなければならない。地図に目を落とし たまま考え込んでしまうと足を踏み外して怪我をするかもしれない。

「地図に引く磁北線は(極端な)右肩下がり、磁北に対して地図を右回りにズ ラすのである」

ウォーキング会で配られる地図に磁北線は書き込まれていない。オリエン テーリングでは磁北が地図外枠線になるように調整されているらしい。登山 家は自分で磁北線を書き込む。

地図を見ながらウォーキングする人は少ない。手が塞がるのが嫌なのであ る。足元への注意が殺がれて危ない。しかし団体からはぐれて一人ぼっちに なったときのために地図読みの練習が必要と感じる。泥縄式ではいけない。 そこで群れから離れることのない普段のウォーキングで地図読みを始める。

念のために始めた地図読みに意外な効果があることに気付く。渡された地図 には必ず経路が書き込んである。地図を見ながら歩くと現在場所の凡そが分 かる。次の休憩場所まで残りどれくらいが。何度も歩いたことのある場所な ら大体半分すぎたとか7割は行っているが経験で分かる。

まったく初めてのところを歩くときは何パーセントをすぎたのかが全然分か らない。あと少しと分かって歩くのと時計を見ながらまだか未だかと歩くの では疲れ方が違う。もう少しと分かれば元気が出る。

通常のウォーキング会なら途中で一人ぼっちになることはない。大規模な大 会になるとリュックのゼッケンで前の人を見つけられる。今回完歩17人の井 原線全線ウォーク(43キロ)では途中リタイアが相次ぎしかも脚力の違いでテ ンデンバラバラになり前後に誰も見当たらない場面もあった。それを予想し てコンパス使いをイメージトレーニングしておいたのが役にたった。

オリエンテーリングと違ってウォーキングは地図にある道を踏み外すことを しない。野山に分け入るような冒険をしない。きちんと整地された道を歩 く。磁北西偏7度の正確さは必要ない。道自体がはっきりと地図に描かれて いる。磁針から地図外枠線をチョイ右回しで地図上の道と歩いている道の方 向がだいたい一致すれば間違いないだろうで済む。

コンパスを頼るのは道なき道を行く航海や飛行である。オリエンテーリング において普通の道を歩くかショートカットして道なき道を歩くのかは競技者 の判断に任される。航海や飛行はもともと道のないところを進む。コンパス を使う技術は航海術方面で詳しいことが学べそうである。

「航海において自船がどの針路を取っているかは、磁気コンパスを使って知 ることができます。磁気コンパスは地磁気に従って「磁北」(じほく)を指 しますが、図のように地球内部は大きな磁石と仮定でき、その磁石は地軸に 対して少し傾いています。その結果、真北と磁北が若干ずれることになりま す。この偏りを「偏差」(へんさ)といいます。そして、磁北を基準とした 方位の表し方を「磁方位」(じほうい)または「磁針方位」(じしんほう い)とよびます。
偏差は地域によって異なり、経年でも変化します。海図上で方位を示すコン パスローズ(compassrose)には内外二つの方位目盛があり、外側が真方 位、内側が磁方位(磁針方位)となります。下のコンパスローズでは、磁方 位が西へ 7゜10’偏っており「 7゜10’W」と記されています。これを「偏 差 7゜10’ウエスタリー(westerly)」あるいは「西偏差 7゜10’」といい ます。偏差に続いて「2003(1’.5W)とあるのは、ここに記された偏差の観 測年が「2003年」であり、この地域は「年に 1.5’ずつ偏差が西へずれてい く」(年差1.5’W)という意味になります。この例とは逆に「5゜30’E」な どと記されていれば、偏差は東へ偏っており「偏差 5゜30’イースタリ- (easterly)」あるいは「東偏差 5゜30’」などと呼ぶことになります。
磁気コンパスは常に磁北を指すというのが原則ですが、実際はボート上の電 動機や金属類といった磁性体に反応して磁北を指さない場合があります。磁 気コンパスの指す北を「コンパスの北」、磁気コンパスによる方位を「コン パス方位」といいます。
「磁北」に対して「コンパスの北」が東西どちらかへ偏ることを「自差があ る」といいます。コンパス方位は各ボートごと異なりますから、海図上で針 路を決めるには、磁方位または真方位に変換する必要があります。」

磁北線(magnetic north)の傾きは案外と目立つ

地理上の北を真北(まきた、しんぼく、true north, geographic north)とい い、コンパス針の指し示す北を磁北(magnetic north)という。沖縄南端で3 度程度、北海道北端で10度程度、西に偏る。岡山県南部では西偏7度くらい になる。

角度の7度は僅かな気がするがネットで磁北線の引き方を解説したサイトに ある絵を見るとかなり目立つ。最初は分かりやすいように強調して描いてい るのかと思う。念のためパソコン画面に分度器を当ててみると6~7度くらい になっている。わざと大袈裟に傾けてあるのではなかった。

地図に磁北線を引くに分度器を使うというのは少数派であって三角関数の正 接(tangent)で説明する記事が殆どである。小学校で使う分度器は直径が9セ ンチくらいしかない。これでは誤差が大きいだろう。関数電卓でタンジェン トを計算する記事が多いなかで、物差しと四則(加減乗除)計算用の電卓を使 う方法の紹介を見つける。

磁北の真北からの偏差(3度~10度)のように小さい角度θのtangentに関して は近似式「tanθ≒θ」が成り立つ。これは微分学の成果である。難しい高 等数学を持ち出さなくとも細身の直角三角形を思い浮かべればそれが正しそ うなことは分かる。

底辺を水平に取り左端から角度が10度くらいの右肩上がりの緩やかな斜辺を引 き、右側に垂線が立つ直角三角形を考える。左側鋭角頂点を中心とし右側直 角頂点を半径とする円を描く。円と斜辺の交点と直角頂点の間の円弧を取 る。この円弧の長さと直角三角形の垂直辺の長さは、斜辺の傾きが10度以下 で緩やかならほぼ等しいということである。チョット見では垂直辺が長そう だが円弧はその曲がり具合で長さを稼いでいる。

ここで注意すべきは角度の単位として全周360度の角度(度数法)を使うので はなく半径が1の円周の長さが2πであることに基く角度(弧度法、ラジア ン、radian)を使っていることである。

角度θが十分小さければtanθの値はラジアン単位のθに等しいとみてよ い。そうすると数電卓を使わなくて済む。

度数法の7度を弧度法に直すと次になる(windows付属関数電卓にはpiキーが ある)。

θ=7×(π/180)=0.1221730476396030703846583537942

windows付属の関数電卓で直接計算すると次になる。

tanθ=0.12278456090290459113423113605286

両者の違いは0.001より小さい。つまり1/1000以下である。1/25000地形図の 外枠縦線(図郭線)の長さは37センチとか46センチであるから磁北線を引くた めに横図郭線に取るべき長さの誤差は0.05ミリにもならない。tanθの代り に弧度法のθを使っても問題となることはない。

磁北が西偏7度であることを無視すると誤差はとてつもなく大きくなる。そ の正接(tangent)は0.122である。進んだ距離に対して横方向に12.2パーセン トもズレるということである。1メートル離れると横に122ミリだけ(1割以上 も)ズレる。tanθをθで近似する誤差が1メートルで僅か1ミリであることに 比べると莫大なものになる。

もし偏りの方向を取り違えたら2倍の14度も離れてしまう。

θ=14×(π/180)=0.24434609527920614076931670758841
tanθ=0.24932800284318069162403993780486

進んだ距離の1/4近くも横にズレることになる。

人が踏み固めた獣道ふうの山道は地図に載ってないかもしれないし地図通り ではなくて移動していることもありうる。そういうところは見通しも悪いで あろうから目的を確実に捉えるには磁北西偏7度を正しくセットしなければ ならない。100メートル進んで12メートルも横に反れるのでは迷路に迷い込 んだに等しい。

街中の舗装道路は必ず地図に載っており実際と食い違うことはない。自分が 歩いているのは地図上の道に間違いない。とくに磁北西偏7度を意識しなく ても自分の進行方向を地図上の道の向きに合わせれば地図を正置したことに なる。なんか疑問が起きたら「(磁北に対して)真北東偏7度」になっている ことを再確認すればよい。

「国土地理院発行の5万分の1、2万5千分の1、1万分の1地形図に磁気偏角値 が記載されています。各地形図ごとに平均的な磁気偏角値が10'単位で記載 されています。」
「関数電卓が必要なのはtan(タンジェント)という三角関数を計算しなけれ ばならなかったからですので、タンジェントを除ければ単純な手計算で済み そうです。そのためにtanθとθを比べてみます(図1)。θの単位はラジアン です(180°=πラジアンと約束しているので、たとえば2万5千図「立山」の 西偏角度7°10′は(7+10/60)°x(π/180°)=0.125 ラジアンとなりま す)。
グラフを見ると、θが小さいとき、すなわちグラフの原点付近(左下)では y=tanθとy=θがほとんど重なっており、θが大きくなるにつれて乖離して いるのがわかります。さて「立山」の西偏角度7°10′は0.125 ラジアンで すので、かなり原点に近い値です。従ってわざわざ電卓でtanθを計算しな くても、偏角をラジアンに直せばそれがそのまま使えることになります。実 際に比較をしてみると表1のようになります。
θとtanθの値はほとんど同一であることが解ります。θとtanθに地図枠の 高さ37cm を掛けたAE(地図枠の右上から上辺に沿って左方に計る長さ。「磁 北線の引き方その1」参照)の違いは最大でも0.03 mmであり、これは実用上 全く問題にならない誤差です。」

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2010年8月 8日 (日)

シルバコンパス(silva compass)をサムコンパス(thumb)風に使う

シルバコンパス(silva compass)をサムコンパス(thumb)風に使う

Time-stamp: "Thu Jun 03 17:39:23 JST 2010"

今回の井原線全線ちゃれんじウォークの参加者は少ないものと予想する。ど うやら新企画の初回であり告知も幅広くはない。距離が長いこと、途中どこ でもリタイアしてもよいとはいっても40キロは遠い。参加者が少ないと自分 の前後を歩く人がいなくなる場面が出てくるだろう。同じくらいの脚力でな いと群れになれない。

いよいよ一人になったら地図を頼りに歩くことになる。お日様から方角は分 かると言っても不安である。それに気を取られるよりコンパスを使うほうが 早い。地形に合わせて地図を正置できる土地勘はない。普段のウォーキング 会では渡された地図をサッサとリュックに放り込み、人の群れに遅れないよ うにくっついて歩くのが精一杯である。地図を取り出して見る余裕はない。

地図の正置とは自分の向いてる方向と地図の方向を合わせることである。 カーナビゲーションを使っていて交差点で直角に曲がるとカーナビの地図画 面も直角分だけ回転する。目の前の景色がそのまま地図上に再現されるよう に地図を置くのが「地図の正置」である。

地図がスンナリと頭に入るためにはカーナビゲーションのように自分の前方 の風景がそのまま目の前の地図になるように置くこと(地図の正置)が一番で ある。そのためにはコンパスを使うことである。高い山や鉄塔などの目立つ ものから判断して地図を正置するのは難しい。やはりそれ用の道具を使った ほうが確実である。

地図を見ながらの歩きにコンパスは欠かせない。昨年(平成21年夏)に買った オリエンテーリングや山歩き用のコンパスとして定評のあるスウェーデン製 シルバ社のシルバ・コンパスを使う練習をする。

今回はオリエンテーリング方面の記事を読む。オリエンテーリングはタイム トライアルであって決められた何個かのチェックポイント(コントロールポ イントと呼ぶらしい)を巡るに要する時間を競う。基本的に走り回る競技に なる。

プロトラクタータイプ(分度器型)であるシルバ・コンパスの回転リングを回 して方角を決めるという悠長な方法ではタイムトライアルに勝てない。今で はプロトラクターコンパスに代わってサムコンパス(thumb compass、親指コ ンパス)がオリエンテーリング上級者の間で使われていると知る。

シルバ社のオリエンテーリング用サムコンパスの最新鋭は6 jet spectraで ある。これはどのように使うのであろうか。検索するがなかなか見つからな い。マニュアルを読んでもピンと来ない。ビギナー向けの使用方法の解説も 見つからない。あまり普及してないからだろう。一番使われているコンパス が三千円以内で買えるのに対して6 jet spectraは八千円もする。

一番気に掛かるのはコンパスの目盛リングが回転しないらしいということで ある。しかし、現物写真を見るとコンパスリングの回りには滑り止めのよう なギザギザがある。回す必要がないのにどうしてギザギザなのかと首を傾げ る。どのように使うのかが分からない。そのことはひとまず置いて従来型の 使用方法を復習する。

シルバコンパスはプロトラクターコンパス(protoractor compass、分度器コ ンパス)と呼ばれるタイプである。長方形のプレートの上に回転可能なコン パス目盛リングを備えている。基本的な使い方は次になる。地図上の現在位 置と目的地を結ぶように長方形プレートの長辺を置き、コンパス目盛リン グのN(北)極が地図の北側になるように目盛リングを合わせる。コンパスを 地図から離してコンパスの磁北針が回転目盛リングのN(北)極に一致する方 向にコンパス自体(もしくはコンパスを持っている自分自身)を回転させる。 そのときのコンパスプレートの長辺の向き(プレートの長手方向の中心に矢 印が引かれている)が進むべき方向になる。

シルバ社はこの手順を「シルバ1-2-3システム」と呼んでいる。(一)でコン パスプレートの長辺を地図上の現在地から目的地に向う直線に合わせる。 (二)にコンパス目盛リングのN(北)極を地図の北側(正確には磁北)に向け る。(三)でコンパスを地図から離してしまうか、またはコンパスを地図上に 置いて地図を持ったまま身体ごと回転してコンパス目盛リングのN(北)極に 磁北針が一致するようにする。そのときのコンパスプレート長手方向の矢印 方向に進む。

山歩きでは道を外さないように確実に進むことが第一であるからシルバ 1-2-3システムを手順通りに実行したほうがよい。オリエンテーリングはタ イムトライアルであるからコンパスリングを回す時間さえ惜しむことにな る。目盛を正確に合わそうとすると、そのことに気を取られて走りが遅くな る。

オリエンテーリングでは地図をサムリーディング(thumb reading、親指読 み)する。つねに親指を地図上の現在位置の近くに置く(真上に置くと親指が 読図の邪魔になる)。自分の移動に連れて親指も地図上を動かしてゆく。そ のためには地図を持った親指先が地図上の現在位置に届くまでに地図を折り 畳む必要がある。

地図を折り畳むには出来るだけ地図の南北方向外枠が分かるようにする。グ チャグチャな折り畳みになった場合は地図上の文字から南北方向を判断す る。地図は必ず北が上になるように作られている。それが読み易い向きに文 字が記入されている。

地図をサムリーディングすると親指でコンパスを保持できなくなる。そこで コンパスを親指に取り付けてしまうアイデアが生まれた。プロトラクターコ ンパスのプレートに指サックのようなものを付けてコンパスを握らなくても よいように工夫する。

サムコンパスの目盛リングが回るタイプのものもあるが、シルバ社は固定式 としてスペクトラシステム(spectra system)と呼んでいる。走りながらの不 安定な状態でリングを回し目盛を合わす操作は困難である。おそらく回すこ とはない。回すのは面倒だ。ならば固定でいいじゃないかとなったものと思 う。

目盛はもっとも馴染みやすい配置である自分の前方(親指方向)を北に固定 してしまう。一応東西南北の30度ゾーンには「EWSN」の文字が入れてある。目 盛リングは12等分割されており30度毎のゾーンに色分けする。東西南北は赤色 とし「EWSN」の文字を入れる。直角間の二つの30度ゾーンは右回りにレッド、 グリーン、ブルー(光の三原色R, G, B)を繰り返す。赤以外のグリーン、ブルー のゾーンにはドットなし、ドット一個、ドット二個、ドット三個が入れてある。

シルバ・スペクトラ・システムでは親指を地図上の現在地に置き目的地が前 方真正面になるように地図を回して持ち直す。次に地図とコンパスを持った ままで、コンパスの磁北針が地図の磁北に向うように身体を回転させる。こ れでカーナビゲーションのように目的地方向に地図は正置され、正面前方が 目的地の方向になる。そのときのコンパスの磁北針が回転しない目盛リング のどのゾーンに居るかを憶える。たとえばグリーンの2ドットという具合 に。以後は磁北針がグリーン・2ドットから外れない方向に進む。

プロトラクタータイプのコンパスをサムコンパス風に使うのは簡単である。 目盛リングの北方向をプレートの矢印方向に一致させて回さないようにする だけである。プレートの矢印を正面前方に向けて地図上の現在地から目的地 方向が前方真正面(プレート矢印と重なる)になるように地図を回転させる。 次に地図とコンパスを手に持ったまま磁北針と地図の磁北が一致するように 身体を回転させる。これで身体の真正面前方が進むべき方向であり地図はそ の向きに正置されている。人間ナビゲーションシステムの完成である。

いっそのこと長方形プレートを外して丸いコンパスだけにしたらと思うかも しれないが定規部分のあるほうが使いやすい。指よりも直線の目安になるプ レートのエッジが便利であり、丸型コンパスよりプレートで角張っているほ うが扱いやすい。

歩きながらコンパスリングを回すのは不安定でやりにくい。そのことでモタ ついていると足元が疎かになり転倒するかもしれない。満遍なく注意力を分 散するにはコンパス操作を簡単化する必要がある。そこでプロトラクターな シルバコンパスをサムコンパス風に使うのである。リングを回さないことに するだけでコンパスの取り扱いが格段にやさしくなる。頭で考える分には 1-2-3システムが分かりやすい。コンパス操作のしやすさではスペクトラな ほうがはるかに楽なのである。

歩きながら手元の地図とコンパスに注意しながら周りの景色をながめ足元の デコボコを目の端で追っ掛ける。何しろ忙しいのである。コンパスの回転リ ングを操作する余裕はない。それは進路が分からなくなり途方に暮れたとき にかぎることにしたい。

今回のウォーキングは地図と一緒にコンパスを使うのが初めてだったので何 となく気恥しい思いをする。ちょっと勇気を出して一回やれば慣れてしまう ものである。イメージトレーニングしたら実戦で使ってみることで自信がつ く。

お日様の向きは時刻によって変わる。朝は東寄り、夕方は西寄りに傾く。大 雑把な方向しか分からない。コンパスならそういった細かい余分なことを考 えなくてよい。オリエンテーリング向きのシルバコンパスはオイル入りなの で針の揺れが早く収まる。歩きながら使うという揺れのある状況ではコンパ ス針の振ら付きの少ないことが最重要である。針がなかなか安定しないよう だとイライラして精神衛生上よくない。コンパスを取り出してみようという 気にならないのでは持っている意味がない。

シルバ社の6 jet spectraの使用法はシルバのホームページにあるマニュア ルでは分からなかった。一番参考になったのはイギリスの通販会社のページ にある次の記事であった。

``The Silva 6 Jet Spectra Thumb compass is a competition quality orienteering thumb compass available in left and right hand versions. Thumb compasses, used by orienteers, are increasingly used by adventure racers as they allow a compass to be carried for quick constant reference without occupying one of your hands. The design of the baseplate also allows you to 'thumb' the map which means keeping the point of the compass baseplate on your location all the time for quick relocation after a stint of running.
The name 'Jet Spectra' means that the compass benefits from 2 of silvas orienteering developments, the Jet needle and the Spectra housing marking. Jet needles are extremely stable even when running and very fast dampening. So each time you slow down to check your compass you save a few seconds where you don't wait for the needle to settle. Jet needles are also wide and luminous for easy reading.
The 6 Jet Spectra does not have a rotating bezel but the Spectra systems does allow for rough bearings to be used. When taking a bearing off the map, join current location and destination with travel arrow as usual. Orientate map, compass and body so travel arrow points in actual physical direction of travel. Note where north end of needle is, e.g. green 2 dots. Now as long as you keep the needle inside the green 2 dot bar you will be moving in the correct general direction.''

上記によると6 jet spectoraには回転ベゼルが無いと明記されている。その 代りにスペクトラシステムがラフベアリング(大まかな直進、方向付け)に使 われる。次のシルバ社のマニュアルではベゼルが回らないとは書かれていな い。

``The parallel steering method - Map and compass in the same hand:
  1. Fold the map to a size you can comfortably handle, preferably so that the magnetic meridians are parallel with the edge of the map.
  2. Here you are - there you want to go!
    Set a direction by putting the 6 JET SPECTRA on the map, in line with the desired direction of travel.
    From here...to there! Align the map...turn the body...Go!
  3. Orientate the map - turn your body towards the right direction to travel!
    Read the position of the needle towards colour/symbol and remember which colour/symbol the needle is pointing at. For example blue, one dot.
  4. GO! (One2Go!)
    The terrain features on the map will be aligned with the terrain on the ground and you have the right course straight ahead. Read the map and move the compass forward during your run. Every time you read the map, also check your direction! Map contact and direction contact - ALWAYS simultaneously!
Constantly maintain contact with your position on the map and your position on the ground.''

ちょっと分かりにくい解説である。現在地から目的地に6 jet spectraを合 わせたあと地図を持ったまま身体を回せとある。そのときコンパスの磁北針 を地図の磁北線に合わせろと明確な指示をしてない。

オリエンテーリングはタイムトライアルであるから回転ベゼルを回すのに手 間取る時間が惜しい。そこで進行方向を確定したときの磁北針が固定ベゼル のどのゾーンにあるかをブルー、ワンドットと憶えてそれを維持する方向に 進む。ここで重要なのは固定ベゼルだということなのだがシルバのマニュア ルもカタログもそのことに触れてない。

製品写真を見るとベゼルの周囲に滑り止めのギザギザが付いていて如何にも 回りそうな雰囲気がある。紛らわしい。リング(ベゼル)が回らないという情 報がないと上記マニュアルの言っていることが分からない。英国の通販の記 事を読んでようやく分かった。

6 jet spectraは八千円くらいする。プロトラクタータイプの一番使われて いるタイプは三千円以内で買える。そしてそれはサムコンパス風に使うこと ができる。プロトラクタータイプをオリエンテーリング向きに改良したもの がサムタイプなのだからそのことは当然である。歩行中はサムタイプとして 使い、立ち止まって思案するとか休憩中は本来のプロトラクタータイプとし て使えばよいのである。

オリエンテーリング界の第一人者である村越 真(むらこししん)氏の次の記 事はたいへん詳しく参考になる。

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